成績概要書                             (作成 平成12年1月)
課題の分類
研究課題名:花き類に発生する病害虫と病害診断マニュアル
        −きく・ばら・ストック・きんぎょそう・アルストロメリア・サンダーソニア・カ-ネ-ション(追加分)−
        (主要花きの病害虫の防除対策試験)
予算区分:道 費
担 当:花・野菜技術センター 研究部 病虫科
研究期間:平8〜11年度
協力・分担関係  各農業改良普及センター

1.目 的
 きく、ばら、ストック、きんぎょそう、アルストロメリアおよびサンダーソニアに発生する病害虫の種類、被害実態を明らかにし、花き栽培の際の参考に資する。

2.方 法
 対象花き:きく、ばら、ストック、きんぎょそう、アルストロメリアおよびサンダーソニア
 種の同定:病理学的性質および形態などの検討
 栽培方法:雨よけハウスおよび露地栽培

3.結果の概要
(1)病害
 1)北海道できくに発生している病害は15種で、このうち、常発し、被害の大きい病害は白さび病である。
 2)北海道でばらに発生している病害は10種でこのうち、常発し、被害の大きい病害はうどんこ病、灰色かび病および黒星病である。
 3)北海道でストックに発生している病害は5種である。
 4)北海道できんぎょそうに発生している病害は4種で、このうち、常発し、被害の大きい病害は灰色かび病である。
 5)北海道でアルストロメリアに発生している病害は3種で、このうち、常発し、被害の大きい病害は灰色かび病である。
 6)北海道でサンダーソニアに発生している病害は2種で、このうち、常発し、被害の大きい病害は球根腐敗である。
(2)害虫
 1)きくで1種、ばらで2種、ストックで1種、きんぎょそうで8種、アルストロメリアで7種およびカーネーション(追加分)で4種の害虫の発生が新たに確認された。
 2)各花き類において、苗や鉢物で発生地から移入されるハモグリバエ類及びミカンキイロアザミウマの被害は目立ったが、その他の害虫では、アルストロメリアでオンシツコナジラミの発生がやや多かった以外は、被害が問題となるような害虫は認められず、まれに発生が確認できる程度であった。また、カーネーションハモグリバエの発生が特異的にみられた。

表1 きく、ばら、ストック、きんぎょそう、アルストロメリア、サンダーソニアに発生する病害
作物名 病害名
きく わい化病、○えそ病、ウイルス病(CMV)、○根頭がんしゅ病、
斑点細菌病、軟腐病、黒斑病、褐斑病、*白さび病、黒さび病、
うどんこ病、半身萎凋病、赤かび病、○菌核病、灰色かび病
ばら 根頭がんしゅ病、腐らん病、べと病、枝枯病、*黒星病、とうそう病
*うどんこ病、さび病、○半身萎凋病、*灰色かび病
ストック 苗立枯病、苗腐病、半身萎凋病、菌核病、灰色かび病
きんぎょそう モザイク病、葉枯病、○半身萎凋病、*灰色かび病
アルストロメリア ○ウイルス症状、○疫病、*灰色かび病
サンダーソニア ○立枯病、○*球根腐敗
 注)表中の○は新たに発生が認められた病害、*は常発し被害が大きい病害を示す。

表2 きく、ばら、ストック、きんぎょそう、アルストロメリア、
         カ-ネ-ション(追加分)に新たに発生が認められた害虫
作物名 害虫名
きく ミカンキイロアザミウマ
ばら ミカンキイロアザミウマ、チビメナガゾウムシ
ストック ミカンキイロアザミウマ
きんぎょそう ヨトウガ、ガンマキンウワバ、ツメクサガ、モモアカアブラムシ、
オンシツコナジラミ、チビクロバネキノコバエ、
ヒラズハナアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ
アルストロメリア ヨトウガ、オンシツコナジラミ、ジャガイモヒゲナガアブラムシ、
ヒラズハナアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ、ナミハダニ、
ナメクジ
カ−ネ−ション
(追加分)
カ−ネ−ションハモグリバエ、チビクロバネキノコバエ、
ミカンキイロアザミウマ、クロ−バシストセンチュウ

4.成果の活用面と留意点
(1)生産現場で迅速な診断を行う目安として利活用する。
(2)症状や形態から判断できないものや新規の病害虫については専門家に依頼する。

5.今後の問題点
(1)各種病害虫の発生生態の解明。
(2)防除対策の確立。
(3)新発生病害虫に対する対応。