成績概要書(作成 平成12年 1月)

課題の分類
研究課題名 キャベツの生育に対応したコナガの減農薬散布技術
(キャベツの高畦による減化学肥料栽培技術の開発と減肥・減農薬技術の体系化)
予算区分 道費
担当科 中央農試 農業機械部 機械科、病虫部 害虫科
研究期間 平成8〜10年度
協力・分担関係:なし

1.目 的
 キャベツのコナガ防除に水田用乗用管理機を利用し、キャベツの生育初期から中期における農薬散布量を明らかにする。

2.方 法
1)供試品種および栽培法
  キャベツ「金系201号」定植日 6/10(H10)、6/25(H11)、15cm高畦、畦間60cm、株間30cm
2)防除対象害虫  コナガ
3)供試機 機械散布 水田乗用管理機 (BSA-410D)、手散布 (背負い式手動散布機)
4)試験期日および散布条件

 
5)調査項目

(1)散布装置の特性 ノズル圧力と吐出量および粒径分布
(2)散布時条件 風向・風速、散布速度、ノズル高さ
(3)付着量(H10) 蛍光剤SW-11を水で300倍希釈し散布後、蛍光式農薬散布量測定器FORM/5により測定
(4)被覆面積率 蛍光剤の付着面積を紫外線照射箱内で読みとり、外葉面積に対する割合を算出
(5)防除効果  10株の全茎葉におけるコナガ幼虫および蛹を計数

3.結果の概要
  1)供試機は機関出力6.6PS、4輪駆動の水田乗用管理機で400リットルの薬液タンクを搭載している。ノズル間隔30cmでブーム長は標準7.5m、10mまで延長できる。散布量25、50、75、100リットル/10aの設定では吐出量は速度に連動し、走行速度が変化しても一定量が散布できる。輪距は 1200mm、最低地上高670mmで畦間60cmのキャベツでは特別な防除畦を必要としない。
2)付着特性 7月20日、外葉の広がりが約55cmの時、蛍光剤液の付着量は75リットル/10a散布と100リットル/10a散布で差はなかった。8月8日、外葉の広がりが64〜70cmでは葉表の付着量および被覆面積率に差はなかった。葉裏への付着量は上位の葉が立っていたため100リットル/10a散布が150リットル/10aよりも若干劣ったが、中位、下位の葉では差がなく被覆面積率でも差がなかった。
3)平成10年、無散布でのコナガの発生は多くなかった。試験期間を通してコナガ補正密度は75-100-100リットル/10a散布と100-150-150リットル/10a散布では差がなかった。
4)平成11年、無散布でのコナガの発生は多かった。試験期間を通じてコナガ補正密度は75-100-100リットル/10a散布と100-150-150リットル/10a散布では差がなかった。同時に実施した手散布と同様の効果を示した。
5)平成10年、11年の結果より、キャベツのコナガ防除は発生程度にかかわらず、生育初期75リットル/10a、中期100リットル/10aの散布により慣行散布量(100-150リットル/10a)と同等の防除効果が認められた。


 

 

 

 

 

4. 成果の活用面と留意点
1) キャベツの生育初期から中期のコナガ防除への利用に適用する。
2) 正確な散布量の設定が簡易に行える機種の使用が望ましい。

5.残された問題点とその対応
1)コナガ以外の病害虫への効果の確認
2)生育後期における減農薬防除の検討