課題の分類: |
1.目 的
豆用コンバインおよび汎用コンバインでの収穫損失、汚粒発生程度、大豆クリーナでは子実水分の相違による汚れ除去程度を検討し、その利用法を明らかにする。また、コンバインやクリーナの利用実態調査、簡易茎水分計によるコンバインの収穫時期の判定法を検討する。
2.方 法
1)試験期日 平成11年(平成8〜10年)
2)試験場所 北村、追分町、士別市
3)試験方法
(1)供試品種 トヨムスメ、十育233号、スズマル、中育47号、トヨコマチ
(2)栽植密度 標準(60cm×20cmまたは66cm×18cm)および1.5倍密植、2本立て
(3)供試機 汎用コンバイン2機種、豆用コンバイン3機種、大豆クリーナ2機種
(4)調査項目 損失、汚れ指数、組成分析など
3.結果の概要
1)コンバイン収穫
(1)4条刈り汎用コンバイン2機種および2条刈り豆用コンバイン3機種で大豆収穫試験を行った。汎用コンバインでは主茎長が55cm以上であれば穀粒損失割合は5%以下である。豆用コンバインでは主茎長が40〜45cm程度と短い場合でも穀粒損失割合は少なかった。
(2)汎用コンバインでは「最下着莢位置と刈り高さの差」が5cm以上であれば刈り取り部損失は4%以下と少ないが、5cm以下では損失が急増する危険性が高い。豆用コンバインではその差が5cm以下の場合でも刈り取り部損失は概ね5%以下であった。
(3)汎用コンバインでは茎水分40%以下であれば汚れの発生が少ないが、40%を越えると汚れ指数2.0以上の著しい汚粒が発生する危険性が高い。豆用コンバインでは茎水分が50%を越えても汚れ指数は2.0以下に留まり、茎水分が高いときでも収穫できる可能性が認められた。
(4)コンバイン収穫後の大豆の汚れ指数が0.5程度の時、汎用コンバインと豆用コンバインの汚れ指数はほぼ同じであった。汚れ指数が1.0以上の時、汎用コンバインより豆用コンバインの汚れ指数が小さく、汚れの発生が著しいときほどその指数差は大きかった。
表1 汎用・豆用コンバインの利用方法
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項目 |
望ましい条件およびその対策 |
作物条件 |
主茎長 |
50〜70cm程度が望ましい。豆用コンバインでは45cm程度まで対応可能。 |
倒伏 |
倒伏がない、あるいは倒伏指数2.0以下。 |
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最下着莢位置 |
12cm程度。培土の形状や高さが異なっても、汎用コンバインでは「最下着莢位置と刈り高さの差」が5cm以上であること。豆用コンバインでは5cm以下でも対応可能。 |
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茎水分 |
40%以下。茎表面に「ぬめり」があるときはコンバイン収穫を止める。水分が高いときは「高刈り」を行い、汚粒発生の低減を心がける。 |
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子実水分 |
20%以下。最適は16%以下。 |
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その他 |
汚粒発生原因となる雑草がないこと。わい化病の防除は的確に行う。 |
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コンバイン |
刈り高さ |
通常、7〜8cm。「刈り高さ12cm程度の高刈り」は損失や汚粒発生状況を見ながら刈り高さの調整を行う。 |
速度 |
0.8m/s程度。良好な条件では1.0m/s程度で収穫可能。主茎長が短い場合や倒伏程度などにより、作業速度を低くする。 |
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汚粒防止 |
汎用コンバインでは豆用キットに交換する、オーガによる排出を行わない。刈り取り部で土砂を食い込ませない。籾殻の利用方法を検討する。 |
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その他 |
内部の清掃を行う。特に、そば、水稲などの収穫後は念入りに清掃を行う。収穫は晴天日中に行い、時間帯は午後がより望ましい。午後4時頃までには収穫を終了する。 |
表2 大豆クリーナの利用方法
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型式 |
処理方式 |
使用資材 |
処理量 (kg/h) |
適応する子実水分 |
汚れ指数 の低下 |
利用方法 |
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ク |
J-18S |
湿式、連続式 |
コーンコブ 水 |
600〜800 |
18〜24% コンバイン収穫直後 |
0.74 (0.10〜1.77) |
最初コーンコブへの加水は均一に行う。しわ粒に留意して加水量を調節する。 |
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MC-45 |
乾式、連続バッチ式 |
特殊研布 |
300〜400 |
16%以下に乾燥後 |
0.97 (0.10〜1.86) |
処理回数は1回、時間は7〜10分程度とする。 |
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共通 |
処理前には粗選を行い、夾雑物や土砂などを取り除く。汚れ指数の低下は平均0.74〜0.97程度であるため、コンバイン収穫では汚れ指数2.0以下で収穫することが望ましい。 |
図1 豆用および汎用コンバインの汚れ指数
4.成果の活用面と留意点
1)道央・上川地方における大豆のコンバイン収穫に利用できる。
2)大豆クリーナによる汚れ除去に利用できる。
5.残された問題とその対応
1)利用体系と連携したコンバインおよびクリーナの経費計算は行っていない。
2)大豆収穫後の乾燥方法の検討は行っていない。