成績概要書(作成 平成12年1月19日)

課題の分類:
研究課題名:野菜導入のための畑作用機械の開発・改良による汎用化
予算区分: 国補(地域基幹)
担当科: 十勝農試 研究部 農業機械科
研究期間: 平 7〜11年
協力・分担関係:

1.目 的
 畑輪作における野菜(根菜類、葉菜類)の導入促進を図るため、省力作業法及び省力作業機を開発改良するとともに、畑作用作業機の野菜用作業機としての適応性を検討することにより、汎用化を図る。

2.方 法
1)試験項目 (1)キャベツの移植・収穫法別作業特性
        (2)ごぼう播種・収穫作業の省力化
        (3)野菜栽培に対する畑作用作業機の利用技術
        (4)効率的作業のための作業区画とトラクタ補助車輪特性
2)試験場所  十勝農試輪作圃場、士幌町、芽室町、幕別町
3)供 試 機  ①ビート移植機、キャベツ収穫機、コンベアキャリア
        ②浅層施肥混和ホイールトレンチャ、ごぼう収穫機
        ③6条テープシーダ、だいこん収穫機、にんじんハーベスタ、ビーンカッタ、ポテトディガ
        ④トラクタ用補助車輪
4)調査項目  作物・圃場条件、作業条件、作業精度、作業動力、作業能率、利用経費等

3.結果の概要
(1)キャベツの移植・収穫法別作業特性
 高畦成畦装置を装着した2畦用移植機で一号紙筒苗を移植した結果、移植作業能率は15.4a/h、10a当たりの投下労働時間では1.95人・時間/10aであった。移植後の欠株率は 6%程度で補植作業を含む紙筒苗移植に係る10a当たり総作業時間は0.95時間、投下労働時間は2.25人・時/10aであった。
 キャベツ1個の手取り収穫所要時間は8.4〜9.2秒を要し、作業能率は1人当たり毎時390〜426玉であった。搬送コンベアからの受け渡し動作が24.5玉/分、コンテナに収納する動作が17.8玉/分であった。
 トラクタ半直装型キャベツ収穫機で一斉収穫し、大型コンテナ運搬後に施設内で調製する体系では、調製作業を含めた10a当りの投下労働時間は合計58.1人・時/10a、収穫と同時に調製箱詰する体系では合計30.6人・時/10aであった(表1)。施設内での調製・箱詰め能率は鬼皮を1〜2枚残して調製するA品調製で毎時30箱、鬼皮を付けずに箱詰めするB品調製では毎時53.8箱であった。
(2)ごぼうトレンチャ改良と浅層施肥混和効果
 ホイール型トレンチャの掘削抵抗の減少と、砕土率向上を目的に掘削爪形状別の動力特性及び土壌環境について検討した結果、コの字型爪はL型爪と比較して所要動力では約35%、比トルクについては47%減少し動力低減効果が確認された。浅層施肥混和装置(図1)による肥料の20cm混和は、初期生育時にリン酸肥料が根域に高濃度に存在することによる生育促進効果があり、対照区に対して20%の増収となった(表2)。作業能率は3.9a/hで肥料の補給に要した時間は全作業時間の約5%であった。
(3)野菜収穫に対する畑作用作業機の利用技術
 ばれいしょやにんじんの茎葉切断用に自走3輪型乗用管理機に装着するビーンカッタを改造した。ばれいしょ2畦に対する茎葉処理作業能率は、作業速度0.83m/sにおいて36.8a/hで、畦間30cmのにんじん茎葉処理では円盤刃1枚が2条処理し1工程で4条切断が可能であった。作業速度は0.62m/sが限界で、作業能率は18.3a/hであった(表3)。
 作用幅60cmのポテトディガを138cmオフセット装着してにんじんを収穫した結果、トラクタの左右のロワーリンクに作用するけん引力は、左-567kgfと右1568kgfであった。オフセット装着したポテトディガによるにんじん収穫作業能率は栽植様式に係わらず2.6a/hであった(表4)。
(4)トラクタ補助車輪特性と圃場作業の効率化
 降雨時や降雨後の軟弱圃場での荷役作業への適応性を高めるため、70Ps級4駆トラクタに幅300mmの鉄製かご型車輪を装着した結果、車輪の沈下が少なく、すべり率20%時のけん引比は2駆で1.4倍に、4駆では1.5倍に高まった(表5)。
 野菜の作型が隣接する圃場での収穫機は往路作業(One-Way)となり、大型コンテナの容量・荷役法が同じ場合、長辺方向の空移動時間が作業能率の低下に及ぼす程度は20〜25%であった(表6)。
(5)野菜用に改造・開発した作業機及び汎用利用時の利用経費を表7に一括して示した。

 

 

 


   図1 浅層施肥混和装置

 

 

 

 

 

 

4.成果の活用と留意点
1)オペレータ労賃単価は1700円/h、補助作業者は1200円/hで算出した。
2)作業機械改造費用は手持ちの工作機械で改造することを前提とし、材料費と労賃単価を10,000円/日で試算した。
3)作業機のオフセット装着により旋回・移動時にトラクタの車輪分担荷重が大きく変化するので、タ イヤ空気圧を適正に調節する。
4)補助車輪装着で道路走行を行う場合は、機体制限幅を2.5m以内とし保安基準を遵守する。

5.残された問題点