成績概要書       (作成 平成13年1月)
研究課題名:カラーピーマンの品種特性
          (地域の振興に対応した野菜の品種特性調査)(新技術・新品種導入対策事業)
予算区分:道 費
研究期間:平11−12年度
担当科:上川農試研究部 畑作園芸科
協力・分担関係:農産園芸課・各農業センター

1. 目 的
 民間育成品種について、作型・地域適応性を踏まえ、品質特性を加味した品種特性を調査し、産地における品種選択の資料を提供する。

2. 方 法
 1)平成11年度 実施場:上川農試     耕種概要:平成12年度と同じ
  播種期:3月18日、3月29日     定植期: 5月17日、5月28日
  供試品種:セニョリータ、 ジャンボ(赤)、 ジャンボ(黄)、ピメント(黄)
 2)平成12年度   供試品種:結果概要に示した7品種
実 施 場
各農業センター
播種期
月・日
定植期
月・日
整枝
栽植様式(cm) 施肥量(kg/a) 堆 肥
kg/a
1 区
株 数
マルチ
 
畦 幅 株 間
上川農試
赤井川村
北 見 市
遠 別 町
伊 達 市
旭 川 市
帯 広 市
2.16
2.18
2.14
2.15
2.07
2.15
2.07
4.18
5.10
5.25
4.18
4.11
4.17
4.20
4本
2本
4本
4本
2本
4本
4本
155
130
155
80
150
180
120
1
1
1
1
1
1
1
50
50
50
50
40
50
60
3.6
2.58
1.2
1.8
1.09
2.8
1.83
3.3
2.58
2.2
1.4
0.76
2.6
4.14
3.4
1.58
1.2
1.2
0.99
2.6
1.83
0
0
300
0
0
800
400

10


12

10
グリー
グリー
グリー
ブラウ
赤 外
グリー
シルバ

3. 結果の概要
セニョリータ :約60gのラウンドタイプの赤色果実であり、成熟日数が短い。収穫開始時期は早く、収穫時期の偏りが小さかった。収穫果数は多いものの、小果のため収量はやや劣った。
バナナピーマン:約50gの円錐形の小型の赤色果実であり、成熟日数が短い。収穫果数は多いものの、小果や変形果などの不良果が多いため良果収量が低かった。果肉は薄く、糖度が低く食味は劣った。収穫後半からの側枝の発生が旺盛となり、整枝・摘果作業に労力を要した。
ジャンボ(赤) :約220gのベル型の赤色果実であり、成熟日数は70日間と長い。良品規格内率が高く、多収であった。果肉が厚く、良食味であった。側枝の発生が少ないなど整枝労力の負担は小さいが、収穫が8月に集中し9月の収量は少なかった。
ジャンボ(黄) :約260gのベル型の黄色大型果実で、成熟日数は70日間と長い。果実品質・収量性などはほぼ「ジャンボ(赤)」と同様な結果であった。収穫終了時において、未熟果が234kg/aあった。
パプリレッド :約240gのベル型の赤色果実であった。果実品質・収量性などはほぼ「ジャンボ (赤)」と同様であった。
パプリゴールド:約230gのベル型の黄色果実であった。収量は「ジャンボ(黄)」に比べて劣るが、果実品質は「ジャンボ(黄)」と同様な結果であった。
ピメント(黄) :約190gの円錐形の黄色果実であった。変形果・尻腐れなどの不良果が多く規格内率は低いものの、果数が「ジャンボ(赤)」等の大型品種に比べて多く、多収となった。総ビタミンC含量は200mg/100g以上で糖含量も高った。草勢が強く節間が長く、一部生育中に枝折れが見られた。
総     括:11・12年度とも、収穫量のほとんどは8月に集中した(図1、11年度略)。各品種とも、果実の着色は収穫の約2週間前より始まり、熟度がヤ未熟果(着色開始から約1週間)以上であれば、内部品質に差は認められず(図2、4、他品種略)、総ビタミンC含量は緑色果でも、ピーマンの約2倍程度が含まれていた(4訂食品析表;80mg/100g)。また、収穫時期に関わらず各品種とも、糖含量・総ビタミンC含量はほぼ一定値を示した(図3、他品種略)。

表1 品種特性総括1(12年度)
 品 種
 
良果収量
kg/a
規格内率
未熟果収量
kg/a
成熟日数
1果重g
 
セニョリータ
バナナピーマン
342 (266〜432)
347 (241〜535)
94 (88〜99)
88 (77〜98)
93 ( 57〜135)
67 ( 11〜154)
59 (54〜75)
56 (50〜65)
63 ( 48〜 81)
47 ( 39〜 59)
ジャンボ(赤)
ジャンボ(黄)
パプリレッド
パプリゴールド
388 (305〜469)
390 (275〜495)
394 (277〜459)
331 (212〜405)
92 (87〜98)
95 (91〜99)
90 (80〜100)
95 (88〜99)
158 ( 78〜235)
234 ( 92〜413)
180 (118〜336)
166 ( 80〜308)
70 (63〜90)
70 (63〜90)
68 (53〜88)
68 (53〜88)
220 (182〜276)
260 (229〜314)
239 (186〜316)
233 (187〜273)
ピメント(黄)416 (294〜637)88 (85〜93)169 (105〜240)69 (56〜90)189 (127〜214)
 注)上川農試と北見市を除く5カ所の農業センターの平均値(最小値〜最大値)
    未熟果は果実肥大が終えた緑色果と着色が不完全な果実

表2 品種特性総括2(12年度)
  品 種
  .
整枝
 
誘引
 
収量
 
果皮
 色
  糖 度
   Brix
総ビタミンC
 mg/100g
食味
 
果 形
 
果実揃
 
セニョリータ
バナナピーマン

 □
 □
 △
 △
 赤
 赤
 6.6(5.7〜7.7)
 5.7(2.9〜6.8)
  185
  169
 □
 △
ラウンド
円錐形
 □
 △
ジャンボ(赤)
ジャンボ(黄)
パプリレッド
パプリゴールド



 △
 △
 △
 △
 ○
 ○
 ○
 □
 赤
 黄
 赤
 黄
 7.1(6.6〜7.7)
 6.7(5.0〜7.4)
 7.5(7.0〜7.9)
 7.0(5.8〜7.7)
  158
  187
  161
  159
 ○
 ○
 ○
 ○
ベル型
 〃
  〃
  〃
 ○
 ○
 ○
 ○
ピ メ ン ト △ ○ 黄 7.7(6.8〜8.2)  212 ○ 円錐形 □
◎(易・多・良)−○(ヤ易・ヤ多・ヤ良)−□(中)−△(ヤ難・ヤ少・ヤ不良)−×(難・少・不良)
糖   度:上川農試と北見市を除く5カ所の農業センターの平均値(最小値〜最大値)
総ビタミンC:上川農試12年度の数値

4. 成果の活用面と留意点
   カラーピーマン産地における品種選定の資料となる

5. 残された問題とその対応
   カラーピーマン栽培法の検討