1.目的 高品質の豚肉を安定的に供給することを目的に、北海道において「ハマナスW1」を利用したハイブリッド豚生産事業(ハイコープ豚事業:ホクレン)が展開されている。 この事業では、今後、雄系統として利用されているデュロック系統豚「サクラ201」に代わり、「ゼンノーD01」を用いる計画であるが、系統間の組み合わせ能力については明かではない。そこで、「ハマナスW1」を用いたF1雌豚と「ゼンノーD01」の組み合せ能力について検討する。
3.結果の概要
1)「ゼンノーD01」を雄系統とした系統交雑豚の日増体重および飼料要求率は、肥育前期および後期ともに良好であり、「サクラ201」を雄系統としたものに比べ優れた(表1)。
2)出荷枝肉の成績は、「ゼンノーD01」を雄系とした交雑豚の枝肉上物率が優れた(表3)が、枝肉重量と背脂肪厚の関係は、サクラ系およびゼンノー系で同様な傾向にあり(図1、2)、雄系統による上物率の違いについては、今後、ハイコープ豚事業の中で長期間にわたった検討が必要と考えられた。また、交雑肉豚の胸最長筋の水分含量、粗脂肪含量、およびPHは、交配雄系統による違いはなかった(表2)。
3)「ゼンノーD01」を雄系統とした交雑豚の枝肉上物率は、出荷日齢が早く、去勢については枝肉重量72kg未満、雌については65kg〜79.5kgの範囲で良好であり(図3,4)、出荷体重を去勢では106〜110kg、雌では107〜123kgに設定するのが良いと思われた。
4.成果の活用面と留意点
雄系統の違いにより、交雑肉豚の発育が異なることから、サクラ201からゼンノーD01へ切り替える際の
移行期には、肉豚を雄系統別に分けて飼育する必要がある。
5.残された問題とその対応
枝肉上物率の雄系統による違いをハイコープ豚事業の中で検討する。