北海道全域を対象として1km(三次)メッシュの根雪情報を作成する。根雪情報の内容は根雪はじめの日と消雪日および根雪期間の統計値で、例えば10年に1回の危険率で平年値からどの程度ずれた値が出現するか(これを再現期間10年の再現期間値と呼ぶ)を知ることを目的とする。利用の便を計るため、情報の検索表示システムの開発も行う。
2.1.根雪情報の統計計算
北海道内の158地点の積雪資料を使用した。これらの地点において、1969年から1998年までのうち20年以上の資料が得られた地点を統計解析の対象とした。データをワイブル分布に当てはめ、再現期間が5,10,20,30年の再現期間値を計算した。
国土数値情報から地理・地形因子を求め、これを説明変数として各メッシュ点の再現期間値を推定し、三次メッシュコードと根雪情報値を対応させたテキストファイルに収納した。あわせて北海道全域マップを作図した。
2.2.根雪情報の検索表示システム
根雪情報の利用を簡便にするために、根雪情報と地理情報を関連づけたデーターベースを構築した(図1)。
北海道には約86000の三次メッシュ地点があるが、そこから任意地点の情報を容易な操作により検索表示できるシステムを開発した。
3.結果の概要
北海道全域マップから、例えば平年的な消雪日は石狩平野北部の石狩川に沿って、妹背牛、深川など消雪の早い地域が存在する様子など、地域的傾向を知ることができた(図省略)。
テキストファイルから美唄地域(12km x 12km)の情報を切り出した例を図2に示す。この程度の広がりの地域内平地部でも消雪日の相違は大であった。
Windowsパソコンの画面に示される北海道全域マップの任意地点をマウスで指定することにより、その地点の根雪情報を得ることができるアプリケーションを開発した(図3)。郵便番号や緯度・経度による検索も可能である。
図1 三次メッシュコードと各種データの対応

図2 平均的な消雪日(4月の何日であるかを示した)
図3 個別地点の情報検索システムの実行画面
[成果の活用面・留意]
・全道マップによる地域的傾向の把握、および注目したい個別地点の詳細な情報値の検索が容易に行える。
・積雪観測地点は標高300m以下であるので、それ以上の地域のメッシュ値の信頼性は劣る。
・検索表示システムはWindowsアプリケーションで、CD-ROM1枚に収められている。テキスト版のWeb検索システムも利用できる(http://joho1.cryo.affrc.go.jp/sekisetsu)。