課題の分類:総合農業 作物生産 稲
        北海道 作物 稲作 育種
研究課題名:北海道もち米の実需実態と理化学特性
        (米づくり多様化促進事業 業務用米における北海道産米の炊飯特性評価 2.飯米用もち米の特性評価)
予算区分:国費助成 研究期間:平成11−12年
担当科:上川農試 研究部 稲作科

1.目的
 現在、北海道産もち米は硬くなりにくいため約7割が主食用(おこわ、家庭向け)として販売されている。今後、需要拡大のためには、主食用としてのシェアの維持に加え、需要が安定している包装餅や成形餅原料としての販売比率の拡大が望まれる。本課題では北海道もち米の品質向上に資することを目的にアンケート調査および理化学分析を実施して北海道産もち米の実需ニーズやその特性を把握した。

2.方法
1)もち米の実需実態に関するアンケート調査(平成11年実施)
調査対象:米卸企業118件のうち回収30件(回収率25.4%)、外食・加工業123件のうち回収25件(回収率20.3%)
2)北海道産もち米の理化学的特性(平成10年・平成11年産)
北海道内奨励品種決定現地調査圃場産もち米:平成10年産36点、平成11年産39点

3.結果の概要・要約
もち米の実需実態に関するアンケート調査
1)もち米の品質・食味調査で重視する項目は、白米白度、食味官能検査値をあげる企業が多く、卸企業では品質面、外食・加工業では物理特性も重視された。
2)北海道産もち米の使用理由として低価格が最も多かった。その他、卸企業は硬くなりにくい、外食・加工業からは硬さが程良いも等であった。一方、使用しない理由には卸企業は銘柄の消費者の認知度が低い、外食・加工業では値頃感や品質が悪い等があった。
3)北海道産もち米の品質に対する要望としては、卸企業では白度向上、次いで粒揃いを良く。外食・加工業では粒揃いを良く、次いで粒を大きく、白度向上であった(表1)。炊飯米、餅については硬くなりにくくが最も多くあげられた。これは、北海道産もち米の硬くなりにくいという特性が認知されこの特性を生かした使われ方がされているためと思われる。

北海道産もち米の理化学的特性
1)北海道産もち米の蛋白含有率は6.3%〜11.1%および白米白度は42〜59の広い範囲に分布し、かつ地域間差が大きかった(図1、図2)。また、蛋白含有率と白米白度および炊飯米の粘りには有意な相関がみられ、蛋白含有率の高いもち米の白米白度は劣り、粘りが劣る炊飯米になる傾向があった(図3、図4)。従って、高い蛋白含有率が白度低下と品質低下の一因となることが示唆された。

まとめ:北海道産もち米には品質の向上と均一化が強く求められていると同時に、硬くなりにくいという特性をさらに伸ばすことも要望されており、これらの改善のために暫定的に品質改善目標値を次のように設定した。
白米白度は、平成10年産平均値50.8から50以上、蛋白含有率は高温年の平成11年産平均値7.8%から8%以下、整粒歩合は粳米に準じて80%以上と設定した。

4.成果の活用面と留意点
1.水稲糯品種開発ともち米生産指導に活用する。
2.本成績は「北海道米の加工適性評価」(平成6年研究参考事項)とともに活用する。

5.残された問題とその対応
1.用途別糯品種開発のための選抜手法の開発。
2.北海道産もち米の地域間・年次間変動を少なくする栽培技術の向上。