成績概要書(2002年1月作成)
研究課題:露地栽培グリーンアスパラガスの品種選択指針        
担当部署:花・野菜技術センター 研究部 野菜科 
協力分担: 
予算区分:道費 
研究期間:1997〜2001年
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1.目 的
 グリーンアスパラガスは北海道の冷涼な気候に合った作物として、古くから栽培
されている。近年、道産物品質の再評価がされ、市場価格が比較的安定し、新品種、
新作型の導入もあり、作付け意欲が高まっている。このため、品種特性の明確化と
それらに対応した栽培法の確立が求められている。
ここでは、産地における品種選択の指針を示すことを目的として、最近の主要品種・
系統27種類の生育特性、病害発生程度、収量性、外観・内部品質を調査した。
2.方 法
①供試圃場:造成台地土(花野菜技術センター圃場)、1区10.8m2、3反復
②供試品種・系統:全雄F113種、混合F19種、混合OP 2種、混合F23種
③定植期:1997年6月、栽植密度:180cm×30cm、栽培法:当場慣行栽培法    
④収穫期:1999年5月6日より22日、2000年5月10日より40日、2001年5月7日より50日間
⑤収穫調査:1日毎に一般収量調査、7日毎にサイズ別調査、外観品質、内部品質調査 
⑥生育調査:斑点病、茎枯病観察調査、秋期生育調査、欠株調査等          
3.成果の概要
①秋期における生育指標(GI)や枯葉株率は年次間で高い相関関係があった。
 結実株率についても品種間差異があり、全雄F1で0〜20数%、混合種で20〜50%であった。
 収量性は定植後3年と4年(4〜5年生株)で高い正の相関関係が、
規格内若茎収量(r=0.879***、P≦0.1%)や、
 Lサイズ以上若茎比率(r=0.846***)、
平均一茎重(r=0.946***)等で認められ、品種間差異が明確であり、
 年次に関わらず品種・系統の特性が示された。
②圃場における品種・系統の斑点病罹病性について、罹病株率調査を行った。
 過去に調査された幼苗接種検定の結果(1993年中央農試)と比較的一致した。
また、4年生と5年生株とで正の相関関係があり(r=0.752***)圃場での罹病性に品種間差異の
あることが認められた。茎枯病は発生程度が低くかったが、年次間で正の相関関係(r=0.724***)が
認められ、品種・系統間で罹病性に差異のあることが推測された。
 前年の斑点病罹病率と翌年の若茎収量の間に負の相関関係が認められ、収量に対する影響が
認められた。
③外観品質として重要な若茎の頭部の締まり程度やアントシアン着色程度及茎色は定植後
2年、3年及び4年の間で高い正相関関係があり、品種固有の特性と認められた。内部品質である
Brix値やビタミンC含有量についても年次やサンプル時期で正の相関関係が認められ、
品種固有の特性と判断された。
④27品種・系統について、生育特性、耐病性、収量性及び品質性について相対評点し、類型化を行った。
 (A)多収、生育良、耐病性強、外観品質中、内部品質良。
 (B)やや多収、生育良、耐病性強、外観品質劣る、内部品質中。
 (C)やや多収、生育やや劣る、耐病性弱、外観品質良、内部品質劣る。
 (D)やや低収、生育中、耐病性強、外観品質劣る、内部品質良。
 (E)やや低収、生育劣る、耐病性劣る、外観品質良、内部品質中程度の5類型に分類された。
 個別にはLサイズ以上規格品割合、外観品質のアントシアン着色、ビタミンC含量等に特徴の見られる
品種・系統があった。この品種の類型化は、産地化の目的に応じた品種選択の資料として有用であると
考えられる。
 
 
表1 各群の生育・収量及び品質特性
|   | 
      A 群 | 
      B 群 | 
      C 群 | 
      D 群 | 
      E 群 | 
    
	
 
  
品種・系統 
  
  | 
      ガインリム 
ヴェンリム 
バックリム 
ティーリム 
 
 
 | 
      カーリム 
ホーリム 
フルート 
KJ1610 
エリート 
フランクリム 
 | 
      ウエルカム 
バイトル 
グリーンタワー 
シャワー 
ポールランド 
キャンドル 
ナイヤガラゴールド | 
      雄次郎 
北大65×19 
月交2号、 
ズイユウ、  
北海100  
KJ1611  
 | 
      メリーワシントン500W 
 UC157 
 UC800    
 ポールトム  
 
  
 | 
    
	
		収量(kg/10a) 
       Lサイズ以上(%) 生育指数(GI) 
欠 株 率(%) 
耐 病 性 
頭部のしまり 
アントシアン着色 
内 部 品 質 | 
      480〜640 
60 
10,000 
1 
斑点病強 
中程度 
基部着色 
Brix値高 | 
      420〜540 
34 
10,000 
5 
斑点病やや強 
やや不良 
強 
ビタミンC含量中 | 
		400〜500 
40 
8,000 
10 
 
良 
弱 
 | 
		320〜450 
25 
7,600 
10 
斑点病強 
中程度 
やや強 
ビタミンC含量多 | 
		300〜430 
30 
8,200 
10 
 
良 
弱 
 | 
	
 
 
 
 
4.成果の活用面と留意点
1)品種・系統の類型化により、目的に応じた品種選択の指針となる。
2)定植後2〜4年目(3〜5年生株)の調査による特性評価である。
3)倒伏防止を行った条件下での試験である。
 
 
5.残された問題点とその対応
 品種特性の経年推移の把握。