成績概要書(2002年1月作成)
研究課題:ラグビーボール型小玉すいかのトンネル栽培法
担当部署:
協力分担:原子力環境センター 農業研究科
予算区分:道 費
研究期間:1997〜2001年度
|
1.目 的
北海道における小玉すいかの安定生産並びに作付け拡大のため、食味がよい「マダーボール」
のトンネル栽培法を
確立し、着果性向上を中心とした収益性向上を図る。
2.方 法
1)試験区分
(1)花粉発芽性の検討:「マダーボール」、「ファインエース」等、サンプル時期=6月中〜下旬
(2)台木用品種の比較:「FRダントツ」、「ドンK」、「かちどき」
(3)整枝方法:仕立て本数(株当たり2、3、4、5、6本)、つる密度4、6本/m
まごづる摘除位置(全て、25節まで、第一果着果節位まで)
(4)窒素施肥法:基肥窒素量(0、2、4、6、8、10㎏/10a)×追肥窒素量(0、2㎏/10a)
追肥時期は着果期
2)耕種概要
(1)供試品種 「マダーボール」(台木「FRダントツ」、断根挿し接ぎ)
(2)供試作型 トンネル(PO 0.075㎜)裾換気作型(マルチ)、
3月下旬播種、5月中旬定植、7月中旬〜8月中旬収穫
(3)栽植密度、整枝法:417株/10a(畦間3m×株間80㎝)、仕立て本数:4、5本
(4)施肥量:N6.4、P2O5 14、K2O 8㎏/10a
3.成果の概要
1) 花粉の発芽は、本作型では低下する場合があったが極端な低温以外は問題の無い範囲である
と考えられた。
2) 台木用品種では、「FRダントツ」が適当である。(表1)
3) 草勢の1つの目安としてつる重/つる長比率と雌花数との関係を検討すると、比率0.3〜0.5で
つる当たり1個以上となった。
また、着果率は比率0.35〜0.4で高い傾向があった。(図1)
4) 整枝方法
(1)仕立て本数を2本にした場合、雌花数はつる当たり多くなるが栽植株数が少ないと面積当たりの
着果数が少なかった。
5本以上にした場合雌花数が少なくなり、作業性も劣った。4本にした場合、
規格内収量は安定していた。
つる密度を6本/mにすると一果重が減少した。以上のことにより、
仕立て本数は4つる/株×株間80㎝、
もしくは2つる/株×株間40㎝が適当である。(表2)
(2)まごづる摘除位置は、第一果着果節位まで摘除すると収量性が高くかつ作業時間も短くなり適当である。
5) 窒素施肥方法
(1)つる当たりの雌花着生数は、施肥量が増えるに従い多くなる傾向があった。
(2)着果率は、下位節でみると基肥量6、8㎏/10aで高かった。
(3)規格内収量は基肥量6、8㎏/10aで高かった。追肥の効果は、基肥量6㎏/10a以下では、
規格内収量が増加し糖度も向上する傾向があった。一方、基肥量8㎏/10a以上では追肥により
規格内収量、糖度とも低下する傾向であった。(図2)
(4)基肥6、8㎏/10aの条件での吸収量は、窒素7.0、りん酸2.5、カリ12.3、カルシウム5.2、
マグネシウム2.3㎏/10a程度であった。
(5)以上により、地力が低〜中位の条件(原子力環境センター農業研究科圃場のように
熱水抽出窒素3.6mg/100g程度)では、基肥6+追肥2㎏/10aもしくは基肥8㎏/10a(追肥なし)が
窒素施肥法として適当である。
表1.台木用品種と生育、収量(2000年)
表2.仕立て本数・栽植密度と収量性、栽培管理特性
図1.つる重/つる長と雌花数、着果率
(着果率は7〜20節)
図2.窒素基肥、追肥の組み合わせと規格内収量比、糖度比(試験実施各年の基肥0、
追肥0kg/10a区を100とした比数、1998〜2000年の平均[区により不完全]
4.成果の活用面と留意点
1) 供試品種は「マダーボール」である
2) 窒素施肥量の適用に当たっては、土壌診断等により地力を評価して行う
3) まごづる摘除位置を低い位置でやめた場合、つる引き作業ができなくなる時期が早くなるので、
作業適期を逃さないようにする
5.残された問題とその対応
1) 他の小玉すいか品種への適用
2) 小玉すいかの輸送法の確立