成績概要書(2002年1月作成)
研究課題:メロンのハウス抑制栽培における糖度低下要因
担当部署:北海道原子力環境センター 農業研究科
協力分担:
予算区分:道費
研究期間:2000〜2003年度
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1.目 的
9月から10月に収穫期となるメロンのハウス抑制栽培で、反収減少の原因となっているメロンの
低糖度果発生要因を明らかにする。
2.方 法
1)場内栽培試験(2000年、2001年)
試験処理:①着果節位(7〜9、10〜12、13〜14、15〜16節)、②苗質(子葉苗、1葉苗、3葉苗)、
③マルチ資材(透明、グリーン、シルバーマルチ)、④土壌踏圧
供試品種:「ルピアレッド」
供試作型:ハウス抑制栽培
栽培期間:定植期:6月下旬から7月上旬(各処理一斉定植)、収穫期:9月中旬から10月上旬
仕立て法:子づる2本仕立て、1株4果どり。子づるは約27節で摘心。
低糖度果:果実赤道面の内壁部と中壁部の2カ所の平均値(平均糖度)が12度未満の果実
2)ハウス抑制栽培農家での糖度低下要因の調査
2001年8月下旬から10月下旬に共和町の9件の農家で糖度と生育の関係を調査した。
3.成果の概要
1)場内栽培試験
(1)低糖度果の発生に対する着果節位、苗質、マルチ資材、土壌踏圧の影響
着果節位の影響:着果節位が上節位であるほど低糖度果は多かった(表1)。
苗質の影響:子葉苗区、1葉苗区で3葉苗区より低糖度果は多かった(表2)。
マルチ資材の種類の影響:低糖度果が多かった資材の種類は試験年で異なった(表3)。
土壌踏圧の影響:定植前に作土表面を踏圧すると低糖度果が多発した(表4)。
(2)低糖度果の発生要因(表5)
低糖度果が多発した処理区と低糖度果が少発した処理区とでメロンを比較した結果、
①着果節位以上の葉重が軽い、②根量が少ない、③地上部窒素吸収量は同程度以下である
ことが
共通して認められ、低糖度果の発生要因であると判断された。
(3)着果節位以上の葉重が軽くなる原因
着果節位が高すぎること:着果節位が高いと摘心節位までの節数と葉重は減少する。
生育の遅延:抑制栽培では若齢苗の定植による生育の遅れにより葉重が軽くなる。
生育の抑制:不適切なマルチ資材の選択、土壌踏圧などで根量が減り、
窒素吸収量と生育量が減少し、着果節位以上の葉重が軽くなる。
2)ハウス抑制栽培農家での糖度低下要因の調査結果
(1)「ルピアレッド」栽培農家で、糖度が低かったメロンを調査した結果、①茎葉生育は劣り、
着果節以上の葉重が軽いこと、②窒素吸収量は同程度だが、根密度が低く、作土の硬度が
高いことから、
糖度低下の一要因として土壌踏圧が考えられた(表5)。
(2) 根密度の低下に病害の発生、圃場の排水性不良も関与すると考えられた(表6)。
(3) 着果節位以上の葉重は、着果節位から摘心節位までの節数が多いほど重かった(図1)。
表1 低糖度果数(果/10a)に対する着果節位の影響
7〜9節は1果重が軽い
表2 低糖度果数(果/10a)に対する苗質の影響
表3 低糖度果数(果/10a)および平均糖度に対するマルチ資材の種類の影響
表4 低糖度果数(果/10a)に対する土壌踏圧の影響
注)2000年は高温で経過した年であった。
表 5 低糖度果数を増加させた処理によるメロンの生育量、葉の萎凋程度、窒素吸収量と体内分布の変化
表6 根密度、圃場排水性、発生病害の実態
注)2001年8下旬〜10月上旬に共和町で調査
図1 着果節位から摘心節位までの節数と果節位以上の総葉重の関係
(「ルピアレッド」栽培農家の実態)
4.成果の活用面と留意点
1)本成果は、ハウス抑制栽培を対象に用いる。
2)本試験は、「ルピアレッド」を供試した。
3)各試験は、定植時期を同一にして栽培した。
4)本試験の施肥量は、北海道施肥標準に準拠した。
5.残された問題とその対応
1)低糖度果減少、根量確保のための土壌耕起法、栽培管理法の検討