新品種候補                               (作成 平成16年1月)

てんさい新品種候補「KWS0213」
   「KWS0213」の概要
                
道立十勝農試、北見農試、中央農試、上川農試、北農研センター
                 北海道てん菜協会(日本甜菜製糖㈱、北海道糖業㈱、ホクレン)

1.特性一覧表

系統名

 

KWS 0213

 

来歴

 

「KWS 0213」は、ドイツのKWS種子株式会社が育成した三倍体単胚の一代雑種である。平成11年に日本甜菜製糖株式会社が輸入し、平成11年より各種試験を行った。







1)根中糖分がかなり高い。
1)不純物価が低く品質がよい。
 




1)根重が少なく糖量もやや少ない。
1)褐斑病抵抗性が“弱”である。
 

普及見込面積

      平成16年度以降    5,000ha  

      系統・品種名
形 質

KWS0113
 

 モノホマレ
(標準品種)

 の ぞ み
(対照品種)

モノホワイト
 (比較品種)

   倍数性
   葉姿
   葉長
   葉数
   葉形
   クラウンの大小
   根形
   分岐根
   露肩

三 倍 体
  やや開平
や や 短
や や 多
皮   針
   小 
円   錐
   少  
   中  

 二 倍 体
 直   立
   長  
 や や 多
 皮   針
   小  
 円   錐
   少  
   中  

 二 倍 体
 直   立
 や や 短
 や や 多
 皮   針
   小
 やや短円錐
   少
   中

二 倍 体
直   立
  中  
  中  
皮   針
   小  
やや短円錐
     
 
や や 少

   根   重 (t/10a)
   根中糖分 (%)
   糖   量 (kg/10a)

  6.70( 96)
 18.03(107)
 1,205(103)

  6.98(100)
 16.83(100)
 1,170(100)

  7.32(105)
 17.06(101)
 1,245(106)

  6.26( 90)
  17.65(105)
  1,102( 94)

 有 害 性
 非 糖 分
(meq/100g)

アミノ態窒素
カリウム
ナトリウム

  1.85( 95)
  3.52( 86)
  0.32( 63)

  1.94(100)
  4.11(100)
  0.51(100)

  1.73( 90)
  3.74( 91)
  0.39( 77)

  1.98(102)
  3.93( 96)
  0.36( 72)

   不 純 物 価 (%)

  3.55( 82)

  4.31(100)

  3.82( 89)

  3.98( 92)

特性

検定


 

 褐 斑 病 抵 抗 性
 根 腐 病 抵 抗 性
 耐   湿   性
 抽  苔  耐  性

   弱  
  やや弱 
 
  中
   強

やや弱(やや強)
やや弱( 弱 )
  やや弱
  強

   弱
   弱
  やや弱
   強

    弱 
    弱 
  やや弱
   強
 黒 根 病 抵 抗 性
 
    中 
 
  中
 
   −
 
   −
 
注1)特性検定は担当農試の成績で、褐斑病抵抗性、根腐病抵抗性における「モノホマレ」の( )内は品種登録時の評価。
 1)形態的特性は十勝農試の成績。その他は十勝、北見、中央、上川、北農研、てん菜協会(3カ所)の計8カ所平均で、試験年次は4カ年(H12〜15)、( )内は「モノホマレ」に対する百分比。
 3)黒根病抵抗性は単年度結果から、「モノホマレ」と同程度(中)と考えられる。
2.「KWS0213」の特記すべき特徴
 根重は「のぞみ」よりかなり少ないが、根中糖分はかなり高く、糖量ではやや少ない。また、不純物価が低く品質が良好である。耐湿性は”中”、根腐病抵抗性は”やや弱”で「のぞみ」を上回る。
 
 
 
3.優良品種に採用しようとする理由
 近年、てん菜の根重および根中糖分の優れた品種の導入、普及は生産性の向上にめざましい成果をあげてきている。しかし、最近の砂糖の価格情勢は厳しく、平成11年に策定された「新たな砂糖・甘味資源作物政策大綱」の中で、てん菜糖コストの大幅な低減が求められている。これに対応するため、原料となるてん菜については糖量での多収化も重要であるが、砂糖製造コスト低減のためには高糖、高品質なてん菜品種の開発、導入が求められている。また、高糖、高品質なてん菜品種は基準糖度に達しにくい低糖分圃場における糖分向上対策として有効である。
「KWS 0213」は、「のぞみ」と比較して根重はかなり少ないが、根中糖分がかなり高く、不純物価が低く品質が良好である。また、耐湿性、根腐病抵抗性が「のぞみ」を上回る。
 以上のことから、「KWS 0213」を砂糖製造コストの低減、低糖分圃場における糖分向上にむけて「のぞみ」等の一部に替えて北海道一円に普及することにより、てんさいの安定生産に寄与できる。
 
 
 
 
 
4.適地
   北海道一円。
 
 
 
5.栽培上の注意
1)褐斑病抵抗性が“弱”なので、適切な防除に努める。
2)そう根病抵抗性を持たないので発病圃場での栽培を避ける。