成績概要書(2004年1月作成)
研究課題:道央におけるグランドカバープランツの生育
      (畦畔用グラウンドカバープランツの選定)
担当部署:花・野菜技術センター 研究部 花き科
協力分担:技術普及部、病虫科
予算区分:事業
研究期間:2001−2003年度(平成13〜15年度)
1.目的
 近年、環境づくりも兼ね畦畔や法面などににグラウンドカバープランツ植栽の希望が多いが、品目の選定、維持管理法が不明ため栽培を見合わせる場合も多い。またグラウンドカバープランツは畦畔では害虫の生息数の減少にも効果が期待されクリーン農業を展開する上でも重要視されている。そこで寒冷地に適する品目の検討、および現地ミント植栽畦畔で効果検証を行う。

2.方法
(1)品目選定(場内試験)
 31種類(9cmポット、一部7.5、10.5cmポット)
 1品目1㎡当たり16株定植、場内明渠の北、南面、平地の圃場に定植、1反復
 定植期:2001年6月20、21日(試験(2)も同じ)
(2)栽植密度と生育(場内試験)
 供試品目 アジュガ、シバザクラ、イブキジャコウソウ、シュッコンバーベナ 
      ツルニチニチソウ
 栽植密度(9,16、25株/㎡)×明渠の北、南面、1区当たり1㎡、2反復
(3)現地ミント畦畔での生育、効果検証
 美唄市光珠内の2001年に年に造田した圃場の畦畔に2002年5月にアップルミントを栽植密度、苗の大きさ(畦1m間隔:9cmポット、75cm間隔:9cmポット、30cm: 200穴セル苗)を変えて定植。またペニーロイヤル、ウォーターミント(農道肩、明渠、 各30cm間隔:200穴セル苗)を定植。これらの生育状況およびカメムシの発生状況を調査
3.成果の概要
(1)品目選定、栽植密度の検討
1)1年目で越冬しなかった品目は「シュッコンバーベナ」、「アオイゴケ」、2年目でほぼ越冬しなかったのは「ブータンルリマツリ」、「オノマンネングサ」であった。
2)明渠と圃場では越冬率が大きく異なり、圃場での越冬率が高かった。明渠での越冬率が低かったのは「カンパヌラ」、「ヒメイワダレソウ」、「ギンパイソウ」であった。
3)明渠で被覆が早かったのは「ポテンティラ」、「クリーピングタイム」であった。「ヒメイワダレソウ」、「ペニーロイヤルミント」も被覆は早かったが永続性に問題があった。ミント類は南向き面では被覆に至ったものが多かったが北向き面での生育が劣り被覆に至らなかった。「アップルミント」はミント類の中で生育が最も旺盛であったが草丈も高くなった。しかし圃場で越年した品目では多くの品目が被覆に至った。
4)開花期間が長かったのは「ポテンティラ」、「クリーピングタイム」、「ヒメイワダレソウ」で2月以上であった。また葉に斑入り、葉色の変化など鑑賞価値のある品目もあった。
5)栽植密度の試験区ではいずれの品目も完全な被覆に至らなかった。
6)3年目までのデータより畦畔用グラウンドカバーとして「ポテンティラ」、「クリーピングタイム」が有望であった。
(2)現地ミント畦畔での生育、効果検証
1)現地圃場畦畔のアップルミントは9月−10月でほぼ天端の被覆は完了した。8月の除草後急速に被覆が早まった。栽植間隔が短いほど被覆は早かった。2年目秋での法面のミントの被覆率は20−60%でイネ科雑草の発生が見られた。
2)現地圃場農道脇の裸地に定植した「アップルミント」、明渠に定植した「ペニーロイヤル」、「ウォーターミント」の生育は緩慢で被覆度は低く欠株が発生した。しかし路肩に定植した「ペニーロイヤル」、「ウォーターミント」は2年目でほぼ被覆が完成した。
3)越冬前に堀上げた現地圃場畦畔の「アップルミント」の根長はいずれの処理区でも50cm前後となっていた。根量はセル苗区がポット苗区に比べ多くなっていた。
4)現地ミント畦畔の土壌貫入抵抗を定植年、2年目と越冬前に測定したが2年目は1年目に比べ抵抗値が増加し、畦畔を保護する効果が認められた。
5)現地ミント畦畔でのカメムシのすくい取りの結果、定植年は捕獲はできなかった。2年目は捕獲はしたものの通常の畦畔より捕獲数は少なかった。またアップルミント畦畔でイネ科雑草の侵入程度が高いほどカメムシの発生が多い傾向が見られた。
 
 定植3年目までの37種のグラウンドカバープランツの生育特性を明らかにした。現地アップルミント畦畔の2年目までの効果について検証を行った。

表1.グラウンドカバー生育特性(定植後3年目までの成績)


表2.アップルミント畦畔の栽植間隔と定植2年目秋のミント被覆度



表3.アップルミント畦畔の栽植間隔と定植年の草高と越冬前株当たり根長



4.成果の活用面と留意点
 品目評価は実際の畦畔で行われていないことを考慮すること。
 道央地域でも少雪地帯は適応外とする。
 
5.残された問題とその対応
 永続性の評価
 導入マニュアルの策定