成績概要書(2004年1月作成)
研究課題:秋どりメロンの糖度安定化技術
(秋どり(9月)メロンの糖度向上技術)
担当部署:原子力環境センター 農業研究科
協力分担:なし
予算区分:道費
研究期間:2000〜2003年度(平成12〜15年度)
1.目的
 「ルピアレッド」の糖度が不安定となるハウス抑制作型において、糖度を安定化させ、低糖度果の発生を減少させる方策を提示することを目的とした。

2.方法
・ 供試品種:「ルピアレッド」
・ 作型:ハウス抑制
・各試験の処理区に記載した以外の栽培方法は以下に従った
育苗方法:ペーパーポット(V5)
苗質:1葉苗(2002年;6/14播種、6/28定植  2003年;6/17播種、7/ 1定植)
マルチフィルム:緑色 目標着果節位: 10節〜
仕立て方法:這い作り子づる2本仕立て1方向誘引、1株4果どり
整枝方法:無摘心、側枝(孫づる)は子づる20節まで葉を残さず除去
施肥法: N:P2O5:K2O=0.9:2.5:1.5(kg/a)
有機複合肥料らいでん特号(8-17-10)、過リン酸石灰および硫加を使用
栽植密度:46.3株/a(畦幅270㎝(ハウス間口540㎝・2ベッド)×株間80㎝)
試験規模:4〜7株/区、2反復      交配:交配用ミツバチを放飼
・主な処理:着果節位(6節〜、8節〜、10節〜、12節〜)、整枝方法(無摘心(20節まで側枝除去)、摘心(25節)、多側枝(無摘心、15節まで側枝除去))、苗質(苗齢:子葉苗(ペーパーポットV5)、1葉苗(ペーパーポットV5)、3葉苗(10.5㎝ポリポット))

3.成果の概要
1) 着果節位は、6節では糖度は高くなるが両性花の着生および着果、果形が不安定になるとともに、生育後半に草勢が低下し、萎ちょうしやすい傾向が認められた。また、12節では糖度が低くなった(第1図)。このため、着果節位は8〜10節からとする。
2) 子づるを摘心すると着果期以降草勢が衰え、着果節位以上の葉身重が小さくなり糖度が低下するため無摘心とし、側枝は子づるの20節程度まで除去する(第2図)。
3) 苗質は、子葉苗では初期生育が強く後半衰え、3葉苗では定植直後の気象条件の影響を受けやすかった。このため、1葉苗でもっとも生育、品質および収量が安定した(第3図)。
4) 低糖度果の発生は良果収量に大きく影響し、平均糖度が高い区ほど低糖度果が少なく良果収量が多かった。
5) 糖度にもっとも大きく影響したのは、着果節位以上の葉身重であり、この傾向は、場内試験および現地実態調査に共通していた(第4、5図)。
6) 個々の葉の色(SPAD値)および光合成能と糖度との間には相関が認められず、糖度には、個々の葉の質よりも健全な葉の量がより大きく影響すると考えられた(第6図)。
7) 生育初期および着果期が高温期で、着果期以降成熟期にかけて低温、短日条件となる作型の気象的特徴をふまえ、1葉苗を定植し、着果節位を8〜11節とし、子づるの摘心はせず、側枝は子づるの20節程度まで除去し、着果節位以上の葉身重(健全な葉の量)を確保することで、糖度の安定化が図られる。

4.成果の活用面と留意点
1)本試験は「ルピアレッド」を用いてハウス抑制作型で実施した。

5.残された問題とその対応
1) 半促成栽培(すいか、メロン)の後作への対応策