成績概要書(2004年1月作成)
 研究課題:スイートコーンのトンネル早熟栽培における収穫期前進技術
 担当部署:北海道原子力環境センター 農業研究科
 協力分担:なし
 予算区分:道費(重点領域)
 研究期間:2001〜2003年度(平成13〜15年度)
 1.目的
  トンネル早熟作型で品質の高い中生品種の収穫期を早生品種並に前進化する栽培技術を確立する。

 2.方法
 供試品種 中生品種「ゆめのコーン」、早生品種「プライムスイート」
 育苗方法 紙筒の高さ、根域制限資材の利用、播種深度、加温時間
      供試紙筒(高さ10cm、264穴/冊)
 苗移植による収穫期前進効果、土壌型が異なる共和町内の4圃場で検討(紙筒の高さ10cm、7.5cm)
 移植苗の苗齢の検討:1.5葉苗、2葉苗、2.5葉苗
 苗移植深の検討:0cm、2.5cm、5cm
 マルチ被覆時期の検討:作付け前年秋(秋マルチ)と作付け年春(春マルチ)
 マルチ資材の検討:透明(0.03mm)、赤外線、ダークグリーン、PO系(0.03・0.05mm)
 トンネル資材の検討:農ポリ(0.03mm)、PO系(0.03mm、0.05mm)
 保温資材の効果:トンネル内被覆、トンネル外被覆
 トンネルの高さの効果:高さ47cm(支柱長さ185cm)、62cm(同210cm)、90cm(同230cm)
移植期:4月2日〜4月16日

 3.成果の概要
 1) 育苗方法は、比重0.7g/cm3程度の培土を高さ10cm〜7.5cmの紙筒に軽く詰め、3〜4cmの深さに播種し、充分灌水し、根域制限     資材を塗布した下敷紙の上で30℃40〜44時間加温し、その後室温に静置する。
 2)苗移植は収穫期前進に有効である(表4)。
 3)移植苗の苗齢を1.5葉から2.5葉まで進めれば収穫期をさらに前進できる(表2)。
 4)苗移植では収量を確保するため、紙筒上端が5〜3cmの深さとなるように移植する。
 5)紙筒の高さを7.5cmまで低くしても移植後の生育、収穫期に影響しない(表2)。
 6)秋マルチは収穫期に影響せず、作土厚が薄くなり肥料流亡も生じるため望ましくない(表2)。
 7)透明農ポリマルチの利用で収穫期前進が図られる(表2)。
 8)収穫期前進のためのトンネル資材はPO資材が適し、霜害低減に有効である(表3)。
 9)PO資材でトンネル被覆する場合、不織布の霜害軽減効果や収穫期の前進効果は小さい(表2)。
 10)トンネルの高さを15〜25cm高めると穴あけ時期を5日程度遅らせることができ、収穫期が前進した(表4)。
 11)以上より、苗移植・トンネルを高くする等の作期前進技術(表1)により中生品種の収穫期を10日程度前進できる(表4)。

表1 収穫期前進を目的とした栽培法           表2 検討事項別の収穫期前進効果


表3 トンネル資材の種類が生育・収量に及ぼす影響    (2002年)

 土壌タイプ: 砂丘未熟土(梨野舞納)、泥炭土(南幌似)、褐色森林土(前田): 
 
表4 収穫期前進法と収量調査結果                  (2003年)




 4.成果の活用面と留意点
  1)トンネル資材に用いたPOフィルムは有滴タイプである。
 
 5.残された問題とその対応