成績概要書(2004年1月)

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　露地栽培のだいこんの根部を加害するキスジトビハムシを主体とし、タネバエ類、ネキリムシ類について被害軽減のため、各作型における各根部害虫の発生・被害状況を把握し、薬剤ごとの特性・用法を組み合わせにより、これらに対する適切な防除法について検討する。

2.方法

　作期別の害虫発生状況の把握、モニタリング法の検討、薬剤の防除効果、耕種的・生物的防除法の検討

　1)根部被害は5月〜9月上旬播種の作型まで発生し、特に6月上旬〜8月下旬播種の作型の無防除では被害根率が100%となった(図4)。

　2)播種後30日前後の10株の葉寄生成虫数1-2頭以上(図2,3)(葉の被害程度計5以上：食害程度(0-5))で、収穫時の被害根率がほぼ100%、根部被害程度(0-4)は2(中)以上となった。

　3)播種時処理の9薬剤のうち、テフルトリン粒剤4kg/10a作条施用(Ｆ剤)の被害防止効果が最も高く、収穫時まで持続したが、他粒剤の効果は播種1ヶ月程度であった。ジノテフラン剤またはダイアジノン剤とＦ剤の混用では共力効果はみられなかった。しかし、Ｆ剤でも多発期には被害を防ぎきれないため(図4)、茎葉散布の併用が必要である。現有の茎葉散布剤には卓効はないが、播種20-30日後からの複数回散布により根部被害低減や品質向上の効果がみられた(図5；DEP乳剤、トルフェンピラド乳剤(To))。

　4)野生エンバク前作は小麦前作に比較して、被害低減効果が確認され(図6)、さらに、生物農薬(未登録)の株元2-5回処理の効果は高く、生育期の防除法として有望である。

　1)2001年は中〜多発生、2002年は無〜微、2003年は微〜少発生で、年次間差が大きく、被害は秋期(一部春期も)に多かった。現地調査等では、被害の地域差が大きかった。

　2)カイロモントラップ(n-吉草酸と2-フェネチルアルコールの混合物)は成虫を多数誘引するが、産卵消長とは異なるため、被害との関係を捉えるには適さなかった。

　3)有機質量(魚粉や前作残渣の影響など)の増加にともない被害が助長された。

　4)CVP剤の播種時施用は、低密度時に被害防止効果がみられた。しかし、テフルトリン剤などだいこんで使用される5薬剤の播種時施用では効果が認められなかった。

　5)カイロモントラップを用いた大量誘殺法は、密度低減効果が認められた。

　1)発生の年次間差が大きく、2001は多発生、2002年は少発生、2003年は微発生であった。

　2)性フェロモントラップは予察灯より捕獲数が多く、発生量の大まかな把握には有効である。

　3)T粒剤(未登録)は被害防止効果があり、低密度にはキスジトビハムシと同時防除が可能である。

(4)以上、キスジトビハムシを主体とする効率的防除として、キスジトビハムシの発生・飛来源となるアブラナ科雑草等の管理やエンバク前作などにより低密度に抑え、播種時のテフルトリン粒剤作条施用と多発時には播種20-30日後から茎葉散布剤併用による防除を行う。ネキリムシ類は、性フェロモントラップで発生量を把握し、少発生時はキスジとの同時防除する。タネバエの誘引・発生には有機質が関係するため、有機質多用を避け、作物残渣の処理を十分に行い、多発防止に努める(図1)。

























4.成果の活用面と留意点

(1)本成績は、だいこんのキスジトビハムシを主体とする根部加害性害虫の防除体系に活用する。

(1)キスジトビハムシに対する生物農薬の登録促進。

(2)キスジトビハムシ・タネバエに対する有効薬剤の探索の継続

(3)タネバエの多発要因の解明