成績概要書(2004年1月作成)
課題分類:
研究課題:コンジョイント分析を利用した堆肥センターの運営手法
      (組織的対応による糞尿処理・利用システムの成立条件の解明)
担当部署:十勝農試  生産研究部 経営科
担当者名:
協力分担:
予算区分:道費(ふんプロ)
研究期間:2002〜2003年度(平成14〜15年度)
1.目的
道内に展開している堆肥センターの運営を安定化するには、需要の確保が大きな課題となる。そのため、堆肥センターの運営には、堆肥に対する農家のニーズを的確に把握し、ニーズを反映した品質や価格の設定が求められる。そこで、消費者の購買行動を把握する際に用いられるコンジョイント分析により、堆肥に対する農家ニーズを把握する手法を提案する。

2.方法
(1)調査対象:網走管内A農協A支所、耕種農家17戸。
(2)コンジョイント分析
分析項目 ①価格、②選別の有無、③熟度、④輸送の有無
(3)サービスの内容と適正価格に関するシミュレーション

3.成果の概要
1)コンジョイント分析の手順は、以下の通りである(図1)。問題を明確にし(A)、問題の解決に有効な属性(要因)とその水準を決定(B)する。直交配列表を利用して属性と水準を組み合わせたプロファイルをセットを作り、農家に提示して評価してもらうプロファイルカードを作成する(C、図2)。他方でカードを評価してもらう農家を選定しておき(D)、カードを提示して購入したい順番を示してもらう(E)。プロファイルカードごとの属性・水準と回収したカードの順位をコンジョイント分析用ソフトに入力して、部分効用値を推定し(F)、各属性の相対重要度を算出する(G)。センターで対応が可能な属性と水準の組合せを作成し、部分効用値にもとづいてシミュレーションを行う(H)。シミュレーション結果から、現状よりも需要を拡大できるサービスと価格の組合せを見いだす(I)。
2)農家の堆肥購入を決定する要因は、価格が最も影響しており、ついで、選別の有無、熟度、輸送の有無の順であった(図3)。
3)農家の堆肥購入の拡大には、①低価格であることともに、②篩い掛けによる選別実施、③堆肥が完熟に達していること、④堆肥の輸送等、堆肥センター側で提供するサービスの有無で進展することが示唆された(図4)。したがって、堆肥センターが提供するサービスに見合った価格の設定が重要になる。
4)サービスの有無による適正価格についてシミュレーションをした(図5)。現状よりも需要の増加が見込まれる場面は、次の通りである。①堆肥の輸送を農家が行い、現状の3,200円から2,700円まで販売価格を低下させる。②選別を実施せずに、現状の3,200円から2,200円まで販売価格を低下させる。このように、コンジョイント分析を活用することで、堆肥の需要拡大に結びつくサービスと価格の組合せを明らかにすることができる。













4.成果の活用面と留意点
1)堆肥センターの運営安定化のための手法として活用できる。
2)本手法の適用に当たっては、①既存資料・アンケート等による事前の情報収集・分析、 ②コンジョイント分析、③分析結果に基づく試験販売による確認、という手順をふむ必 要がある。
3)コンジョイント分析用ソフトは数社から市販されているので、それを利用できる。
5.残された問題とその対応
1)堆肥センターの運営における畜産農家・耕種農家の費用負担実態。