成績概要書(2004年1月)
課題分類:
研究課題:長わら混入ふん尿の固液分離・密閉型曝気処理技術
       (固液分離と曝気処理によるふん尿処理システムの性能)
担当部署:根釧農業試験場 研究部 酪農施設科
協力分担:なし
予算区分:受託
研究期間:2003年度(平成15年度)

1.目的
 つなぎ牛舎から排出される敷料混合のふん尿について、固液分離機により固形分を堆肥化可能な水分まで低下させるとともに、分離液は2槽からなる曝気施設で好気処理を行うふん尿処理施設が開発された。しかし、施設の処理能力が不明確であることから固液分離機および曝気槽の性能を調査し、適正処理規模を明らかにするとともに臭気や糞尿の成分変化などの処理効果について分析し、施設導入時の参考とする。

2.方法
1) 試験期日 平成15年1月、9月、10月
2) 試験場所 室蘭市 飼養形態:つなぎ飼い(45頭)除糞方式:バーンクリーナ
3) 供試機 
 ① スクリュープレス式固液分離機 SD-300A 
 ② 2槽式曝気槽  A100-MRC-M01・M02 (曝気レータ、ブロワ、循環ポンプ、消泡用シャワー)
4) 調査項目
 ① 固液分離機の性能 機体寸法等、処理量、分離精度、糞尿水分
 ② 曝気槽の性能   機体寸法等、総括酸素移動容量係数(無酸素水を用いた溶存酸素濃度測定による)、水温、処理液性状(pH、ORP、粘度、
   TS、SS、COD、T-N、P2O5、K2O、CaO、MgO、発酵温度、発生ガス濃度(H2S、CH3SH、NH3、CO2)

3.成果の概要
1) 供試したスクリュープレス方式の固液分離機の処理量は副資材としての敷料の種類によって異なり、カンナ屑や麦稈で0.73〜0.77t/hで、乾草、および敷料が多い時は0.54〜0.57t/hであった。分離された固形分の水分は麦稈および乾草で約70%、カンナ屑で約76%であった。
2)供試曝気槽は曝気レータとブロワを主力とした二槽式曝気槽である。第1曝気槽の最大総括酸素移動容量係数(Kla)は2.38/hで曝気レータはブロワとほぼ同等の能力であるが、送気量は1/10程度であり、酸素の移動効率が高いことが確認された。また、消泡用シャワーにも酸素移動効果が確認された。
3)1サイクル45分で1日17.5時間稼動・6日間処理の曝気処理により処理液のpHの上昇、粘度の低下、液温の上昇、第2槽の発生ガス濃度を第1槽と比べCO2で20%、H2Sでは99%の低下が認められたことから好気発酵が進んでいると判断された。肥料成分の減少率は全窒素で約15%、他は僅かであった。また、SSは第1槽で増加して第2槽で低下したが、TSが15%程度、CODも20%程度低下した。機械式消泡と送気量制御により急激な発泡を抑制する曝気処理が行なわれていた。
4)固液分離機の1時間あたりの処理能力はが0.54〜0.73t/hであることから、成牛頭数換算で10〜16頭規模となり、曝気装置は1日に5m3の液分移送が行なわれることから、成牛頭数換算で170〜190頭分の分離液分を処理することが可能である。施設全体の処理可能頭数は固液分離機の稼動時間によって決定され、固液分離機を4時間稼動とした場合は、成牛頭数換算で40〜55頭規模となる。



表1 固液分離機の主要諸元



表2 曝気施設の主要諸元



表3 固液分離機の処理能力



表4 曝気処理(M牧場 10/15〜17)


4.成果の活用面と留意点
固液分離機の処理能力よりバーンクリーナの除糞量が多い時は、間欠運転でふん尿投入量の制御が
必要である。

5.残された問題とその対応
金属探知機等の設置によるバーンクリーナも含めた自動運転の検証