成績概要書(2004年1月作成)
研究課題:光センサーによるばれいしょのでん粉価測定・選別技術
       (ばれいしょのでん粉価選別・流通システムの開発)    
担当部署:中央農試 農産工学部 農産品質科、株式会社マキ製作所
協力分担:
予算区分:共同研究
研究期間:2002〜2003年度(平成14〜15年度)
1.目 的
  ばれいしょのでん粉価を光センサーで高精度に測定する機能を有する選別機器を開発するとともに、品種、規格、産地、貯蔵等の異なる条件下での精度向上のための改良を 行った。
 
2.方 法
 測定機器:アグリセンサーライン型
 比重法によるでん粉価測定:いもの水中重・空中重から比重を求め、次式によりでん粉価(%)を算出した(Remyの方法)。 S={(r−1.050)×1000}×0.2145+7.5
 光センサーによる測定とデータ解析手順:1)個々のいもに黒マジックで番号をつける。2)センサーにより透過光の吸収スペクトルを測定する。3)比重法によりでん粉価を測定する。4)試料を検量線作成用と評価用に区分する。5)検量線作成用試料の光センサー測定データと比重法のでん粉価データからPLS回帰分析法により検量線を作成する。検量線は品種毎に作成する。6)検量線から評価用試料のでん粉価を算出し、相関係数、標準誤差(SEP)等の解析を行う。
 
3.成果の概要
1)でん粉価の違いが食味評価に及ぼす影響を検討した結果、「キタアカリ」では電子レンジ、ふかしいもおよびポテトサラダ調理で、「12%」のものが食味評価上やや劣った。粉ふきいも調理では「14%」および「16%」のものが特にすぐれていた。肉じゃがでは 「14%」のものがすぐれていた。「メークイン」では高でん粉価「17%」〜「19%」のものでは煮くずれ程度が高く、カレー調理適性については「12%」〜「16%」の範囲ではいずれもすぐれていた。
2)品種・規格別に光センサーによるでん粉価測定を行った結果、「男爵薯」、「キタアカリ」、「メークイン」の全規格込みの相関係数Rは各々0.87、0.88、0.94、予測標準誤差(SEP) は0.87、0.86、0.58であり、高い精度ででん粉価測定ができた(表1、図1)。
3)光センサーによるでん粉価測定の繰り返し精度はいずれの品種でも高く、実用上問題ないものと判断された(表2)。
4)産地、付着土が光センサーによるでん粉価測定に及ぼす影響を検討した結果、いずれの産地においても各品種の規格込みの標準誤差は水洗処理の有無に関わらず1%未満であったことから、産地、品種、付着土の影響はわずかで、実用上問題ないものと判断され た(表3)。
5)貯蔵試料を母集団に加えて改良した検量線を採用することにより8カ月貯蔵後の試料でも精度の高いでん粉価測定ができた(表4)。
6)光センサー内の温度補正機能により2.5〜21℃の範囲では品温がでん粉価測定値に及ぼす影響は小さかった(表5)。
7)以上のことから、ばれいしょのでん粉価を光センサーで高精度に測定する機能を有する選別機器が開発できた。



















4.成果の活用面と留意点
1)生食用ばれいしょのでん粉価を非破壊、迅速、高精度に測定・選別ができ、選果ラインに導入可能である。
2)食品製造会社の原料ばれいしょの選別にも活用できる。

5.残された問題点とその対応
1)供試品種以外の品種への対応