成績概要書(2005年1月作成)
———————————————————————————————————————
研究課題:道央地域における花木類の生育特性および切り枝適性
(道央地域への導入を想定した切り枝品目の検索)
担当部署:花・野菜技術センター 研究部 花き科
協力分担:林業試験場緑化樹センター
予算区分:道費
研究期間:2004年度(平成16年度)
———————————————————————————————————————
1.目的
林業試験場緑化樹センター(以下緑化樹センター)および当センター内の花木類について生育、開花特性および切り枝としての日持ち性を調査し、また新規性評価を行い道央地域への導入を想定した切り枝品目としての適性を評価する。
2.試験方法
1)花木類の生育、開花特性および日持ち性調査
品目数:緑化樹センター(美唄市)114品目、花・野菜技術センター7品目(滝川市)計121品目
試験規模:1品目2〜8株、1株/m2
調査項目:開花始、開花終、結実始、結実終、紅葉始、落葉期(前記6項目については一部緑化樹センター生産技術科の協力のもと調査)、枝長、当年枝開花性、花色、果実色、葉色、棘の密度、日持ち性
2)切り枝品目としての新規性の評価
東京、大阪の市場関係者を対象に切り枝の消費動向について意見を求め、新規性の観点から枝物の適性を評価した。
3.成果の概要
1) 枝の伸長が優れていた品目では年間で100cm以上伸長する品目も見られた。しかし木の大きさや剪定法によっても生育に影響が見られると思われた。棘のある品目は19品目存在し、特に棘の密集した品目は扱いにくさから切り枝としての適性はやや劣ると思われた。
〈開花品目について〉
調査品目121品目中、開花が確認された品目は83品目であった。開花時期は4月上旬から7月下旬におよび、5月に最も多くの品目が開花した。開花期間は数か月におよぶ長い品目も存在したが、多くは1ヶ月未満であった。
〈結実品目について〉
結実が確認された品目は53品目であった。小果樹類などは結実時期が早く6月下旬から結実し8月には落果したが、それ以外の品目では10月から11月まで見られた。また、結実期間は開花期間よりも長めでほとんどの品目で1ヶ月以上となった。果実色は赤が多く、ついで黒が多かった。なかには白、黄、青などの果実も存在した。水揚げによる果実の日持ち性も花のそれと比較して良好であった。
〈紅葉品目について〉
9月上旬の台風の影響で落葉および葉の損傷が認められ、紅葉品目については30品目のみ確認された。また紅葉と同時に落葉する品目が多く見られ、紅葉しても落葉しない品目は数品種見られた。ほとんどの品目は赤く紅葉するが中には暗紫色に紅葉する品目も存在した。日持ち期間の長い品目も存在したが枝長が劣っていた。
2) 東京(A)、大阪(B)の市場関係者から切り枝品目について新規性の評価を受けた。開花品目、結実品目、紅葉品目それぞれについて切り枝として優れた形質を持つ品目は存在したが、これらを切り枝の新規品目として確立するには鮮度保持と切り枝長の確保に関する問題点をクリアする必要があるとの見解であった。
以上の結果から生育特性、日持ち性および新規性を総合的に評価した結果有望と思われる開花品目および結実品目を第1表および第2表にまとめて記した。
4.成果の活用と留意点
1)本成績は道央圏での切り枝品目導入における基礎資料とする。
2)樹木のサイズにより生育量が変化する可能性がある。また剪定法によっても生育に差が生じる可能性がある。
3)今回の調査地域は美唄市および滝川市でともに道央圏である。
5.残された問題点とその対応
1)栽培法の確立。
2)全道における適応性調査。