成績概要書   (2005年1月作成)
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課題の分類:
研究課題名:畜産施設におけるライムケーキコンクリート舗装の実用性
(予算課題名:ライムケーキを用いた農畜産用舗装技術の開発:ライムケーキ舗装パドックの実用性評価)
担当部署:畜産試験場 畜産工学部 代謝生理科、環境草地部 畜産環境科
担当者名:
協力分担:工業試験場、士幌鉄工株式会社
予算区分:道費(重点領域特別研究)
研究期間:2002〜2004年度(平成14〜16年度)
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1.目 的
製糖工場で産業廃棄物として生産されるライムケーキを用いた舗装材(以下、ライムケーキコンクリート)が道立工業試験場で開発された。このライムケーキコンクリートは、通常のコンクリートに比べて安価であるとともに、硬度が低いことから乳・肉牛のパドック舗装材および堆肥盤の資材に適していると考えられる。そこで、ライムケーキコンクリートの実用化を図るための一環として、ライムケーキコンクリート舗装の耐久性および利用性について検討した。

2.方 法
1) ライムケーキコンクリート舗装パドック等の舗装面の耐久性
   調査施設:平成14年施工 7施設、平成15年施工 3施設
   調査項目:ライムケーキコンクリート舗装面の形状
2) ライムケーキコンクリート舗装パドックの利用性
 (1) ライムケーキコンクリート舗装パドックの乳牛の利用性
   供試牛:泌乳牛32頭、処理:①ライムケーキコンクリート舗装、②コンクリート舗装、③火山灰舗装
   調査項目:乳牛の行動(立位、横臥位)
 (2) ライムケーキコンクリート舗装パドックの特性評価
   ア.保温性評価-  測定時期:11月(気温 7℃)、調査項目:放置温水(43℃)の温度低下
   イ.反発力評価-  高さ20㎝から重りを落下、調査項目:重りにかかる加速度
3) ライムケーキコンクリート堆肥盤の利用性
   堆肥盤:94㎡の堆肥盤を造成し3ヵ年間使用、調査項目:車両等の作業性、堆肥盤舗装面の形状  

3.結果の概要
1) 施工時に降雨にみまわれた畜試のパドックでは、舗装面の剥離および進行性の深い崩壊が見られた。その他の施設では、表面剥離および亀裂が認められたものの2冬越冬後でも実用的には問題のない程度であった(表1)。
2) (1) 乳牛の利用は火山灰舗装で多いが、コンクリート舗装と比較した場合、ライムケーキコンクリート舗装を多く選択し、横臥率も高かった(表2)。
(2) ライムケーキコンクリート舗装はコンクリート舗装に比べて、保温性が高かった(図1)。また、反発力の指標となる衝撃力等はライムケーキコンクリート舗装が低く、牛歩行時の蹄および横臥時の牛体への衝撃は少ないと考えられた(表3)。
3) 作業機械のタイヤのスリップはみられず、作業性はコンクリート舗装と変わらないものと考えられた。堆肥盤前面のショベルのバケットを降ろす部分で一部損耗の大きな箇所がみられたが、それ以外の部分では比較的良好な状態であった(表4)。

 以上のことから、ライムケーキコンクリート舗装パドックおよび堆肥盤等は、実用上、問題はないと考えられた。また、ライムケーキコンクリート舗装は通常のコンクリート舗装に比べて保温性が高いこと、衝撃に対する反発力が小さいことなどから、畜産用舗装材として有効と考えられた。

4.成果の活用と留意点
1) 畜産施設の舗装材として利用できる。
2) 凍上を抑制する必要がある場合は、適切な厚さの凍上抑制層を設けた凍上防止仕様とする。

5.残された問題とその対応
1) ライムケーキコンクリート舗装の耐用年数の解明