「バーコードを活用した簡便な生産履歴作成技術」(研究参考事項)
                   海道農業研究センター総合研究部
                              農業機械研究室
 
 農薬に付記されているバーコードと併せて作物名、圃場番号等を示すバーコードシートを読み取ることにより農作業を簡便に記録できる。また、農薬適正使用診断システムにより適切な農薬が使用されているか診断もできる。
 
1 試験目的
 生産履歴の作成は多忙な農家にとって新たな負担となっている。また生産組合にとっても、生産履歴の収集とチェックは煩雑である。そこで、生産履歴作成の簡素化を図ることを目的として、PCや携帯電話に接続可能なバーコードリーダ(デジコード製DMS201、定価3万円)を利用した、windows搭載のパソコンや携帯端末(PDA)で利用できる生産履歴作成プログラムを開発する。

2 試験方法
(1) 慣行の表計算ソフト利用の場合との比較:入力所要時間測定
(2) 試験内容:大豆(ユキホマレ)の耕うんから収穫までの生産履歴を開発手法と慣行の表計算ソフトを利用した方法で作成する。記録項目は作物名、月日、圃場番号、作業名、作業時間、薬剤使用の場合には薬剤名とその使用量及び作業者名(慣行法のみ)である。薬剤散布作業は3人の作業者により合計6回、耕うん等の他の作業は5人の作業者により合計9回行った。慣行法では、農薬名以外はすべて選択式である。

3 試験成績


図1 バーコードによる生産履歴作成システム


図2 バーコードテーブル(一部抜粋)


図3 テーブル読み取り

4 試験結果及び考察
(1) 日本農薬工業会会員、賛助会員を中心に、2004年4月時点における農薬メーカ35社分の製品バーコード(JANコード)とその製品名及び農薬登録番号の対応を示すデータベース(約4500品目)を作成した。データーベースには平成16年度10月末現在のホクレン取り扱い品目の約95%が含まれている。
(2) 開発した生産履歴作成プログラム(図1)は、作物、圃場番号及び作業名等を示すバーコードテーブル(図2)を利用して農作業を記録することができる。記録は図3に示すようにテーブルを左から順に読み込み、防除作業では農薬に付記されたバーコードとともに希釈倍率(施用量)をテーブルから読み込み行う。データベースにより農薬のコードは製品名に変換されて記録される。
(3) インターネット接続されたPCであれば、北農研情報解析研開発の農薬適正使用診断プログラム(使用法については平成16年度成果情報「農薬適正使用支援システム」を参照)によって使用農薬の登録番号から農薬の使用が適正か否かをチェックすることができる。
(4) 生産履歴作成の手間は慣行法と開発手法の比較結果より、防除作業以外では差異がみられないものの、防除作業では慣行法に比べて約50%にできる(表1)。

5 普及指導上の注意事項
(1) 生産履歴収集・管理システムの情報入力部分に活用できる。
(2) バーコードの無い資材へ対応するため、農薬・肥料の登録番号や生産組合独自コードを利用できるようにする。
(3) より現場で使いやすくするため、携帯電話利用手法へ発展させる。
(4) 生産組合で異なる生産履歴書式の共通項目を調べ、記録項目の標準化について検討する。