成績概要書(2005年1月作成)
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研究課題 : 小豆の機械収穫早限と乾燥調製特性
(不良条件下における高品質小豆のコンバイン収穫体系と雨害発生条件の解明)
担当部署 : 中央農試 生産システム部 機械科、作物開発部 畑作科、
十勝農試 生産研究部 栽培システム科
協力分担 : なし
予算区分 : 道費(豆基)
研究期間 : 2002〜2004年度 (平成14〜16年度)
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1.目的
本試験は収穫損失、歩留、品質からみた機械収穫早限並びに早刈りした子実の乾燥・調製特性を明らかにし、小豆の機械収穫技術の適応拡大を図ることを目的とした。
2.方法
1)試験場所、供試品種:中央農試・追分町「しゅまり」、十勝農試・芽室町「エリモショウズ」、忠類村「きたのおとめ」
2)収穫試験-供試機:2条軸流式コンバイン、4条軸流式汎用コンバイン、2条用ピックアップスレッシャ、収穫時期:熟莢率50〜100%、調査項目:収穫損失、作物条件、組成
3)乾燥試験-乾燥法:静置式および実験用通風乾燥機による常温通風乾燥、調査項目:子実水分経過、入気温・湿度経過、堆積高さ、夾雑物の有無、風量比、乾減率
4)調製試験-調製法:風選、粒選、比重選、磁選、研磨、色選、手選、調査項目:歩留、組成
5)品質・加工適性試験-調査項目:粒色、煮熟特性、加工業者による製あん評価
3.成果の概要
1)丸鋸歯およびロークロップヘッダを装備した2条軸流式コンバイン、4条軸流式汎用コンバインによる小豆のダイレクト収穫では、熟莢率が低いと未脱損失が増加するが、熟莢率80%以上であれば収穫損失は5%以内であった(図1)。ピックアップスレッシャによる拾い上げ収穫では早刈りによる収穫損失がコンバインよりも2〜3%多いため、やむを得ず早刈りする場合は作業速度を落とし、未脱損失の減少に心掛ける。
2)完熟期前の機械収穫では未熟打撲粒(未熟な粒を機械脱穀し、色浅となった粒)が発生するため、ニオ積みと比較して整粒割合が小さいが、熟莢率80%以上での収穫であれば整粒割合の低下は少ない(図2)。
3)熟莢率80%程度で収穫した小豆の平均子実水分は25%程度であり、中には60%近い水分の粒も含まれるため、速やかな乾燥が必要である。早刈りした小豆は完熟期収穫、ニオ積みした小豆と比較して収穫後の水分・粒径のばらつきが大きいが、乾燥により完熟期収穫、ニオ積みとほぼ同じ粒径になり、水分はむしろ均一化する傾向にある。熟莢率が80%に達しない条件で機械収穫せざるを得ない場合の乾燥では夾雑物の除去は行わずに風の通りを良くする、撹拌を行うなどの対策が必要であり、撹拌を行わない場合は堆積高さを20cm以内に留める。
4)機械収穫した小豆の調製歩留まりは熟莢率が低い時期に収穫するほど低下する。調製歩留は機械収穫後の整粒割合で決まり、完熟期刈りとの比較では熟莢率80%以上で収穫した小豆であれば調製歩留の低下は少ない(図3)。
5)早刈りによって増加する未熟打撲粒の煮熟特性、あんの色調は著しく劣るが、調製選別により除去することができる。このため、機械収穫し、調製した良品小豆の煮熟特性、あん色、加工業者による製あん特性の評価に収穫時期による差は認められなかった(図4)。
6)以上のことから、小豆の機械収穫は完熟期後の適期刈りを基本とするが、やむを得ず早刈りする場合の機械収穫早限は熟莢率80%程度であることならびに早刈りした場合の乾燥対策を明らかにした(図5)。
図1 熟莢率と収穫損失の関係
図2 熟莢率と整粒割合の関係(ニオ積み比)
図3 熟莢率と調製歩留の関係(完熟刈り比)
図4 加工業者による製あん評価
(H16,追分町産「しゅまり」,調製後の良品)
図5 小豆の機械収穫、乾燥体系
4.成果の活用面と留意点
1)熟莢率80%からの機械収穫は早刈りせざるを得ない理由のある場合に適用する。
2)全道の小豆栽培地帯に適用する。
5.残された問題とその対応
1)低温時における小豆の効率的乾燥法
2)早生、耐冷、耐病、良質多収品種の育成