成績概要書 (2005年1月 作成)
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研究課題:搾乳ユニット自動搬送装置の作業性評価
担当部署:根釧農業試験場 研究部 酪農施設科
協力分担:なし
予算区分:受託
研究期間: 2003年度(平成15年度)
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1.目的
現地農家に導入された搾乳ユニット自動搬送装置について、搾乳作業の実態調査により搾乳作業能率等を検討するとともに、導入による作業性の改善効果を明らかにする。
2.方法
1)導入前の牛舎設備、搾乳作業状況調査
搾乳ユニット自動搬送装置導入予定農家の導入前の搾乳作業内容、能率等を調査した。
<調査項目> 飼養頭数、搾乳作業能率(搾乳頭数、時間、作業者数)など
2)導入後の牛舎設備、搾乳作業状況調査
搾乳ユニット自動搬送装置導入後の搾乳作業内容、能率等を導入直後と9ヶ月後に調査した。
<調査項目> 飼養頭数、搾乳作業能率(搾乳頭数、時間、作業者数)、搬送装置の作動状況、機械の操作性、自動搬送装置を利用した作業に対する感想など
3.結果の概要
1)A農家における導入前の調査は2002年8月22日に実施した。この時のバケット搾乳以外の搾乳牛頭数は42頭であった(表1)。作業者は3名で搾乳作業時間は1.36時間であった。搾乳能率は30.9頭/hであった(表2)。
2)搾乳ユニット自動搬送装置導入直後の調査時(2002年10月23日)の搾乳牛頭数は46頭であった。作業者は3名で搾乳ユニット自動搬送装置は4台であった。搾乳作業時間は1.13時間で搾乳能率は40.8頭/hであった。搾乳ユニット自動搬送装置の操作になれていないため考えながら操作ボタンを押す状態であった。導入後9ヶ月(2003年7月18日)の調査では操作にもかなり慣れておりボタン操作もなめらかであった。しかし、自動離脱装置はほとんどの牛で使用せず後搾りをし手動で離脱させていた。この時の作業者数は3名で、搾乳作業能率は約39頭/hであった(表1、2)。
3)B、C、D、Eの各農家について導入後の調査を実施した(表1)。B、Cは対尻式牛舎で、搾乳ユニット自動搬送装置を6台使用していた。D、Eは対頭式牛舎で、うちDは搾乳ユニット自動搬送装置を片側2台、Eは3台ずつ使用していた。作業能率は、Bでは82頭の搾乳に1.23時間を要しており66.7頭/hであった。Cでは64頭の搾乳に0.96時間を要しており66.7頭/hであった。Dでは66頭の搾乳に1.30時間を要しており50.8頭/hであった。Eでは98頭の搾乳に1.82時間を要し搾乳能率は54.0頭/hであった(表3)。
4)搾乳終了から次の搾乳ユニット装着までの時間はEが77秒と短く、Bが264秒と長いが他は115〜155秒であった(表4)。この時間から推定した搾乳ユニットの待機時間は、1頭あたりの搾乳時間が9.16分と長く自動離脱装置を利用しないEが37秒と最も短く、全頭自動離脱し1頭あたりの搾乳時間が4.70分と最も短いBが224秒と最も長かった。
5)機器のトラブルについては搾乳ユニット自動搬送装置のスリップ、配管接続不良などが見られたが、これらはすでに改良されておりE農家ではほとんど問題がなかった。搾乳ユニット自動搬送装置導入による効果として、重い搾乳ユニットを持たなくても良いこと、自動で配管に接続されること等による軽労化があげられた。
6)以上のことから、搾乳ユニット自動搬送装置を6台(搾乳ユニット12台)導入することにより2名作業の場合、一般のつなぎ牛舎の搾乳作業能率40〜50頭/hが、対尻式牛舎では約67頭/h、対頭式牛舎では約51〜54頭/hの能率で搾乳が可能となる。
表1 調査農家の概要
農家区分 | 自動搬送装置 導入年月 |
牛 舎 形 式 | 搾乳頭数 (頭) |
作業者数 (人) |
搬送機数 (台) |
搾乳ユニット数 (台) |
A | (導入前) | 対尻式、スタンチョン、54床 | 42 | 3 | - | 6 |
2002年10月 | 対尻式、タイストール、72床 | 46〜47 | 3 | 4 | 8 | |
B | 2003年10月 | 対尻式、タイストール、100床 | 82 | 2 | 6 | 12 |
C | 2003年10月 | 対尻式、タイストール、92床 | 64 | 2 | 6 | 12 |
D | 2003年10月 | 対頭式、タイストール、66床 | 66 | 2 | 4 | 8 |
E | 2003年10月 | 対頭式、タイストール、110床 | 98 | 2 | 6 | 12 |
表2 A農家調査時の概要
調査月日 | 調査時の概要 | 作業者数 (人) |
搾乳頭数 (頭) |
作業時間 (h) |
搾乳能率 (頭/h) |
備考 |
2002年8月22日 | 導入前の調査 | 3 | 42 | 1.36 | 30.9 | 旧牛舎 |
2002年10月23日 | 導入直後(10月20日移動) | 3 | 46 | 1.13 | 40.8 | 新牛舎 |
2003年7月18日 | 導入後9ヶ月(夜搾乳) | 3 | 47 | 1.2 | 39.1 | 新牛舎 |
2003年7月19日 | 導入後9ヶ月(朝搾乳) | 3 | 47 | 1.21 | 38.9 | 新牛舎 |
表3 調査農家の搾乳作業能率
調査 農家 |
調査 月日 |
搬送装置台数 (台)*1 |
搾乳頭数 (頭) |
作業時間 (h) |
搾乳能率 (頭/h) |
1頭搾乳時間 (min/頭)*2 |
自動離脱 利用状況 |
B | 2004/1/6 | 6(12) | 82 | 1.23 | 66.7 | 4.7 | 全頭 |
C | 2004/1/8 | 6(12) | 64 | 0.96 | 66.7 | 5.41 | ほぼ全頭 |
D | 2004/1/30 | 4(8) | 66 | 1.3 | 50.8 | 5.36 | 初産牛のみ |
E | 2004/9/25 | 6(12) | 98 | 1.82 | 54 | 9.16 | 初産牛のみ |
表4 搾乳終了から次装着開始までの時間からみたユニットの推定待機時間
農 家 区 分 | A | B | C | D | E |
搾乳終了〜次装着開始(秒) | 115 | 264 | 155 | 138 | 77 |
偏差 | 94 | 102 | 54 | 56 | 27 |
自動搬送装置移動時間(秒) | 32 | 40 | 40 | 32 | 40 |
ユニット推定待機時間(秒) | 83 | 224 | 115 | 106 | 37 |
4.成果の活用面と留意点
1)搾乳ユニット自動搬送装置は、対尻式、対頭式のいずれのつなぎ牛舎にも導入可能である。
2)導入にあたって牛乳配管は増加する搾乳ユニット数に応じた適正な径、勾配とする。
5.残された問題とその対応
1)新規導入時の自動離脱装置利用法