成績概要書(2006年1月作成)
研究課題 :西洋なし「ブランデーワイン」の着果管理技術
担当部署 :中央農試作物開発部果樹科 
協力分担 :北後志地区農業改良普及センター
予算区分 :道費   研究期間 :1998〜2005年度(平成10〜17年度)

 

1.目的
 西洋なし「ブランデーワイン」は本道特産品種で食味と肉質が優れるが、果実が小さく規格外果の多いことが問題となっている。西洋なしでもりんごと同様に果実肥大や品質向上等を目的として摘果等の着果管理が行われるが、「ブランデーワイン」については着果管理について十分検討されておらず、適正な着果程度や摘果時期等についての情報が求められている。そこで、本試験では良品果実生産のための着果管理技術について検討する。

2.方法
 (1)着果程度に関する試験 
   試験実施場所:余市町生産者圃場 
   着果程度:1果当頂芽数などを目安に樹毎に着果程度を変えて着果させた 
   調査項目:頂芽数、頂花芽率、着果数、1果当頂芽数、規格別果実数(規格内:165g以上)、果実重、追熟後糖度
 (2)摘果時期に関する試験 
   試験実施場所:中央農試果樹園  
   摘果時期:満開後30,40,50日 
   調査項目:頂花芽率、果実重 
 (3)着果方法に関する試験 
   試験実施場所:中央農試果樹園  
   着果方法:等間隔、大果優先(1.5m程度の範囲で) 
   調査項目:頂花芽率、果実重、果台枝(芽)の有無     
 (4)花そう摘花に関する試験 
   試験実施場所:中央農試果樹園  
   花そう摘花:処理(満開期前後に、概ね10cm間隔になるよう花そうごと摘花)、無処理   
   調査項目:頂花芽率、果実重

3.成果の概要
 (1)着果程度に関する試験
  1)着果程度を少なくしても規格内果数は増加せず、過度に着果程度を制限しても規格内収量の増加につながらなかった(図1)。
  2)着果程度を多くすると規格内果数はやや増加する程度なのに対し、規格外果数は着果程度が多くなると増加し、1果当頂芽数でみると5頂芽前後から増加の程度は大きくなった。
  3)追熟後糖度や翌年の頂花芽率に対する着果程度の影響は検討した範囲では認められなかった。
  4)規格外果数の増加は無駄な収穫や選果労力の増加につながることから「ブランデーワイン」の適正な着果程度は1果当5頂芽程度と考えられる。
  5)1果当頂芽数と着果間隔の関係を検討した結果、着果間隔25cmが摘果時の目安として利用可能である(図2)。
 (2)摘果時期に関する試験
  1)満開後50日の摘果では同30日および40日の摘果に比べ果実重が小さくなり、頂花芽率も低下し、摘果時期として遅かった(表1)。
  2)満開後23日の果実横径と収穫時果実重には高い正の相関が認められるが、満開後40日や50日に比べるとばらつきがやや大きくなり、回帰直線の傾きが急になったことから、極端
   な早期摘果では確実に大果を選ぶことが難しくなると考えられる(図3)。
  3)以上の結果から、摘果時期は満開後30日〜40日が適当である。摘果時の果実横径と収穫時果実重に高い相関が認められたことから、摘果時点での果実の大きさが収穫時の果実
   重に大きく影響しており、「ブランデーワイン」で大果を生産するには摘果時に大きい果実を優先的に残す必要がある。
 (3)着果方法に関する試験
  1)1.5m程度の範囲では、近接して着果させても果実肥大が抑制されることはなかった(図4)。この結果から大果を収穫するには着果間隔が近くても大きい果実を優先して着果させるの
   が良い。
  2)果台枝(芽)がある果そうでは果台枝(芽)がない果そうに比べ大果の割合が多くなった。この結果から、果実の大きさと併せて果台枝(芽)の有無が摘果時に着果させる果実を判断
   する目安として利用できる。
 (4)花そう摘花
  1)花そう摘花の果実肥大に対する効果はそれほど大きくないが、頂花芽率が高くなり隔年結果の軽減効果が認められた(表2)。花そう摘花は、時期的に他の作業との競合が少なく、
   後の摘果作業の軽減にもなることから、可能な範囲で行った方が良い。

 以上の結果をもとに、西洋なし「ブランデーワイン」の着果管理について表3のとおり取りまとめた。

            

   

          

   

 

  

4 成果の活用面と留意点
 道内西洋なし産地における「ブランデーワイン」の着果管理に活用する。

5 残された問題とその対応
 大果生産のための枝梢管理技術