成績概要書   (2006年1月作成)

研究課題:廃プラスチック等を利用した牛床資材の利用性

担当部署:根釧農試 研究部 酪農施設科
協力分担:なし
予算区分:受託
研究期間:2004〜2005年度(平成16〜17年度)

 

1.目的
 新たに開発された廃プラスチック等を利用した牛床資材の乳牛の利用性について明らかにし、導入利用上の参考に供する。

2.方法
 1)供試資材
 供試資材は農業用廃ビニールと廃タイヤチップを細断・混合し、ウレタン系固結剤で加圧成型したゴムチップ成型マットであり、1800mm×1200mm×厚さ50mmである(図1)。この供試資
 材について材料の配合割合および裏面形状、表面処理の異なる3種類(表1)を用意し、根釧農業試験場の施設・行動実験舎(28牛床)に設置し、さらに既存の1年間使用したゴムチップ
 マットレス(対象)との比較試験を行った。なお、供試資材Ⅰの耐久性(繰り返し・ひずみ圧縮試験)、耐酸性試験については道立工業試験場にて実施済みである。
 2)試験方法
 牛床資材の特性評価のために加速度計を用いた落下試験装置(大ハンマ4.5kgの頭部に加速度計を装着)により、落下衝突時(高さ200mmから自由落下)の最大加速度と衝撃力から資
 材を評価した。また、乳牛の行動(横臥、佇立、採食、反芻)を15分おきに24時間観察し、牛床の利用性を評価した。
 さらに、1〜2週間ごとに飛節スコアと牛床で横臥している牛を強制的に起立させたときの起きあがり時間について調査した。

3.結果の概要
 1)落下試験装置による衝撃力は供試資材Ⅰでは1772Nで対照資材(ゴムチップマットレス:1年間使用、2354N)よりも柔らかかった。供試資材Ⅲでは2461Nであり、農業用ビニールの配
  合割合の増加と裏面形状が変わったために、供試資材Ⅰに比べて硬くなったが、対照資材と同等であった(表2)。
 2)供試資材Ⅰでの牛床横臥率は76.2〜76.8%であり、牛の利用性には問題が見られなかったが、対照資材に比べて飛節スコア0(問題なし)の割合が低くなり、スコア1(飛節の毛がなくな
  る)、スコア2(擦り傷)が増加した(図2)。
 3)供試資材Ⅱの牛床横臥率は観察でそれぞれ70.9〜71.7%であり(表3)、牛の利用性には問題が見られなかった。しかし、依然として供試資材に比べて飛節スコア1の割合が増加した
  (図2)。
 4)供試資材Ⅲの牛床横臥率は74.9%であり、供試資材ⅠおよびⅡと大きな差は見られなかった。飛節スコアについてはスコア0の割合が増加し、スコア2の割合は低下するなど改善が見
  られた。また、起立時のスリップなども見られず、起きあがり時間にも差が見られなかった(表4)。

図1.供試資材

表1.供試資材の概要

表2.落下試験装置による牛床資材の特性評価

図2.飛節スコアの推移

表3.各牛床資材における牛の牛床利用率および牛床横臥率

表4.各牛床資材における牛の起きあがり時間とスリップ頭数

これらの結果から、供試資材Ⅲが牛床資材として適していると結論づけられる。

4.成果の活用面と留意点
 1)農業用廃プラスチックの有効活用が図られる。

5.残された問題点とその対応
 なし