「アルファルファ単播草地の雑草実生に対するシロクローバによるリビングマルチの出芽・生育抑制効果」(研究参考)

                                     北海道農業研究センター畜産草地部草地生産研究室 高橋俊・八木隆徳


シロクローバは刈取後、速やかに草冠を形成し、群落内を遮光する。これをリビングマルチとして利用すれば、アルファルファ単播草地に発生する雑草実生の出芽、生育を抑制する。


1 試験目的
  アルファルファは嗜好性が高いことや乾物摂取量が高まることから高泌乳牛用粗飼料としての評価が高い。このような飼料特性を有効に利用するためには単播草地の利用が適しているが、単播草地では経年化によるアルファルファ個体密度の低下にともなって裸地が生じ、雑草が侵入してくる。このような裸地に対して被覆力の高いシロクローバをリビングマルチとして活用できれば、減農薬による雑草防除を図ることができる。本課題ではアルファルファ単播草地の早刈条件においてシロクローバをリビングマルチとして活用する場合の雑草の出芽・生育に対する抑制効果を明らかにする。

2 試験方法
(1)アルファルファ単播草地(年4回刈)に侵入する雑草実生の密度と草高を定点調査。
(2)生育型の異なるシロクローバ3品種(カリフォルニアラジノ(大葉型)、ソーニャ(中葉型)、タホラ(小葉型))の刈取後の草冠形成過程を調査。
(3)前述3品種のシロクローバ群落を刈取後に雑草を播種し、その後の雑草の出芽・生育に及ぼすリビングマルチの抑制効果を調査。
(4)アルファルファ単播草地(年4回刈)に4水準の大きさの裸地を設定し、2番草刈取後にシロクローバを追播して裸地の大きさと定着の良否の関係を調査。

3 試験成績
(1)リビングマルチの標的となる主な雑草の実生は越年生でスズメノカタビラ、ナズナ、多年生でエゾノギシギシ、セイヨウタンポポであった。これらの草高からリビングマルチの群落高として10cm以上が必要である(表1)。


(2)シロクローバは刈取後、速やかに草冠を形成し、葉面積指数は刈取後10日で1に達し、その後2〜2.5まで増加した(図1)。

草冠形成にともなって遮光が進行し、10日後で群落内の地際相対照度は30%に低下し、その後10%以下となった(図2)。

(3)シロクローバのリビングマルチにより雑草の出芽、生育ともに抑制された。抑制の程度は雑草の種類や季節によって異なったが、シロクローバの大葉型、中葉型、小葉型の品種間では同程度の抑制効果がみられた。エゾノギシギシ、ナズナに対しては抑制効果が大きかった(表2)。

(4)アルファルファ単播草地(年4回刈)の裸地にリビングマルチのシロクローバを導入する場合、2番草収穫後に追播を行えば、直径約50cm以上の裸地には定着が可能である(表3)

 

4 試験結果及び考察
 アルファルファ単播草地における雑草実生の耕種的防除技術の開発に活用する。