成績概要書(2006年1月作成)

研究課題:光センサーによるながいもの品質(乾物率・ねばり)測定技術
       (ながいもの非破壊品質評価・選別システムの開発)

担当部署:中央農試 農産工学部 農産品質科、株式会社 マキ製作所、株式会社 エミネット
協力分担:JAようてい
予算区分:共同研究
研究期間:2004〜2005年度(平成16〜17年度)

  

1.目的
 光センサー技術を用いたながいも品質の非破壊評価の可能性及び各種変動要因が非破壊評価に及ぼす影響を検討し、その適用範囲を明らかにする。

2.方法
 
1)ながいも品質に関する検量線の作成
  (1)供試試料
    2004年および2005年JAようてい管内産 春掘ながいも(2004年は予備調査)
    規格:A品(秀品)のM、L、2L、3Lサイズ
    試料の状態:おがくず詰め
    調査項目:乾物率(貯蔵性に影響)、ねばり(食味に影響)
  (2)試料測定方法
    スペクトルデータは試料に横から光をあてて透過光を測定し、各試料6等分に分割したデータを解析にもちいた(図1)。
    また、実測値の測定は肩部、胴部、尻部の3部位に分けて行った。
  (3)データ解析法:PLS回帰分析法
 2)各種変動要因が光センサーによる測定に及ぼす影響
  (1)表面の状態:泥付き、洗浄後水に濡れた状態
  (2)栽培年次:2004年産春掘ながいも
  (3)収穫時期:2004年産秋掘ながいも
  (4)貯蔵期間:2、4ヶ月(春掘ながいも)
  (5)産地:道内主要産地(胆振管内1、網走管内1、十勝管内6産地)

 

3.成果の概要
 
1)胴部及び尻部における光センサーによる繰り返し測定時の変動係数は小さく、繰り返し精度は高いと考えられた(表1)。 また、肩部のデータを除いて作成した検量線は、予測標準
  誤差SEPが乾物率で0.50〜0.64%、ねばりで6.3〜8.5RVUとなりいずれも目標とするSEPの値(乾物率;1.60、ねばり;10)以下であり、重量規格の影響を受けることなく精度良く推定が
  可能であると判断された(表2)。
 2)ながいもの表面の状態(泥付き、水濡れ)が光センサーによる測定に及ぼす影響について検討したところ、Mサイズから2Lサイズの試料に関しては影響が小さいと判断された(表3)。
 3)栽培年次、収穫時期、貯蔵期間、産地等の変動要因が光センサーによる乾物率の測定に及ぼす影響について調査したところ、いずれの変動要因についても影響が小さいと判断さ
  れた。一方、ねばりに関しては作成した検量線は概ね適用可能と判断されたが、推定精度が劣る産地もあった(表4)。
 4)以上の結果より、光センサーを用いることによりながいも品質の非破壊評価が可能であることが明らかとなった。また、検量線作成と同様の方法で調整された試料については栽培年
  次、収穫時期、産地、貯蔵期間の影響を受けることなく品質評価可能であると考えられた。

  

  

 

 

  

4.成果の活用面と留意点
 
1)光センサーを用いることによりながいも品質(乾物率・ねばり)を非破壊で簡易且つ迅速に推定できる。
 2)検量線の作成には、おがくず詰めの状態のものを供試した。

5.残された問題とその対応
 
1)検量線作成試料と調整方法が異なる試料に対応するための検量線の改良
 2)秀品以外の試料に対する適用性確認
 3)現場導入時の選別システムの構築