新品種候補 (作成 平成201月)

2.「HT 28」の特記すべき特徴
 そう根病抵抗性が「モリーノ」並の“強”であり、「モリーノ」と比較して根重、根中糖分、糖量が優り、不純物価が低く品質が優る。「クローナ」と比較して根中糖分はやや劣るものの、根重、糖量が優る。また、褐斑病抵抗性が「モリーノ」並の“やや強”であり、「クローナ」の“弱”より優る。
3.優良品種に採用しようとする理由
 てんさいの重要病害である、テンサイそう根病は化学的防除が困難なため、発病圃場では抵抗性品種の作付けが不可欠であり、そう根病発生地域の拡大とともに抵抗性品種の重要性はさらに高まっている(平成19年現在、抵抗性品種の作付けシェアは24.6%)。抵抗性品種の「モリーノ」は平成11年に優良品種に認定され、最大で約4800ha(平成18年)作付けされたが、根中糖分が“かなり低”に分類されることもあり、根重、根中糖分共に優れた抵抗性品種が切望されている。
 一方、「クローナ」を含む一般品種の大半は、テンサイ褐斑病に対する抵抗性が“弱”であるため、適期に薬剤防除が行えない場合、減収被害が懸念される。このため、収量性に優れるだけでなく、褐斑病抵抗性にも優れた品種が必要とされている。  そう根病抵抗性を有する「HT 28」は、「モリーノ」と比較して根重、根中糖分、糖量が優り、不純物価が低く品質が優る。また、一般品種の「クローナ」と比較して、根中糖分はやや劣るものの根重、糖量が優る。さらに、褐斑病に対しても抵抗性が“やや強”であり、同病に対する被害軽減が期待できる。
 以上のことから、「HT 28」を「モリーノ」に置き換えるとともに、「クローナ」を含む一般品種の一部に替えて北海道一円に普及することにより、てんさいの安定生産に寄与できる。


4.栽培適地
      北海道一円。

1.HT 28」の糖量
(対「モリーノ」、「クローナ」百分比表示)(斜字体が「クローナ」対比)
▲:輸入品種検定試験、品種連絡試験3カ年平均成績(平成1719)



5.栽培上の注意
1)多湿圃場で黒根病が多発した試験例があるため、適切な排水対策に努める。