成績概要書(2008年1月作成)
研究課題: 八重系トルコギキョウの秋切り作型における品質向上対策 (トルコギキョウの秋切り作型における品質向上対策) 担当部署: 花・野菜技術センター 研究部 花き科協力分担: なし 予算区分: 道費 研究期間: 2005〜2007年度(平成17〜19年度)
1.目 的 八重系トルコギキョウの秋切り作型において、ブラスチング(花蕾の発育停止)発生を抑制するとともに総合的に切り花品質を向上させる技術を確立する。 2.方 法 1)時期別低照度処理がブラスチング発生に及ぼす影響(ポット試験、処理区は表1参照) 2)切り花品質向上技術確立試験(加温機付きパイプハウス) 供試品種:「ピッコローサスノー」(早生)、「セレモニースノー」(中晩生)、 「ロジーナⅢ型ホワイト」(晩生) 試験規模:1区20 or 30株、2区制、施肥量はN-P2O5-K2O=2.0-1.7-2.0㎏/a(ロング70) (1)電照による光環境改善効果 処理区:ナトリウムランプ昼間補光区(3000lux、12時間連続点灯)、ナトリウムランプ長日処理区(3000lux、 朝夕点灯、明期18時間)、白熱灯長日処理区(50〜120lux、朝夕点灯、明期18時間)、無処理区 (2)栽植密度による光環境改善効果 処理区:疎植区(2,778株/a)、標準区(3,333株/a) (3)反射マルチによる光環境改善効果 処理区:反射マルチ区(8月16日以降、通路に反射マルチを設置)、無マ ルチ区 (4)定植後の短日処理による栄養生長促進効果(ピッコローサスノーのみ供試) 処理区:短日処理区(定植翌日から30日間、17時〜9時を暗期)、無処理区 (5)稚苗定植による栄養成長促進効果(セレモニースノーのみ供試) 処理区:稚苗区(エクセルソイル512セル苗)、慣行苗区(2006年度288セル苗、2007年度406セル苗) 3.成果の概要 1)ブラスチングの多発には頂花開花期前後の低照度が大きく影響していると考えられた(表1)。 2)採花1ヶ月前からのナトリウムランプによる補光および長日処理では切り花のボリューム増加とブラスチング抑制に効果が認められた。白熱灯による長日処理では日長反応による開花促進効果および切り花長の増加が認められ,照度を100lux以上確保することにより花蕾数の増加やブラスチング抑制効果も認められた(図1)。 3)疎植および反射マルチの設置による光環境改善においても切り花のボリューム増加とブラスチング抑制効果が認められた。また、これらと電照法を組み合わせるとより品質向上効果が高まった(図2)。 4)栄養生長促進技術である定植後1ヶ月間の短日処理(図3)および稚苗定植(図4)では切り花のボリュームが大幅に増加したがブラスチングの抑制効果は認められなかった。 5)栄養生長促進技術と光環境改善技術を組み合わせることにより切り花のボリュームを増加させ、かつブラスチングを抑制することが可能であった(図3、4)。 6)経済性試算の結果、栄養生長促進技術と光環境改善技術を組み合わせることにより、収益性が大幅に向上すると考えられた(表2)。 7)以上より品質向上対策の考え方を図5に、収益性向上効果が高かった技術の組み合わせ例を表3に示した。