成績概要書(2008年1月作成)
研究課題:赤肉メロン新品種候補「空知交16号」(「メロン赤肉品種の早期開発試験(Ⅱ)」、
       「クリーン、省力栽培 に適した赤肉メロン品種の育成」)
担当部署:花・野菜技術センター 研究部 野菜科、株式会社大学農園
予算区分:共同研究
研究期間:1997〜2007年度(平成9〜19年度)
1.特性一覧表


2.「空知交16号」の特記すべき特徴
 ネットは盛上りが良く、果実外観品質に優れる。草姿はコンパクトであり、また、うどんこ病に耐病性を有するため栽培管理が行いやすい。食味は赤肉臭が少なく、くせのない味である。

3.北海道で優良品種に採用しようとする理由
 「空知交16号」はネットの盛上りが現在の主力赤肉品種である「ルピアレッド」及び優良品種である「いちひめ」より明らかに優れ、高級メロンとされるアールス系メロンに準じる外観品質を有するため高価格が期待できる。また、アールス系メロンの欠点である発酵果の発生、果実肥大の悪さは認められない。草姿は「ルピアレッド」と同様にコンパクトであるため効率的に整枝作業が行え、また、うどんこ病にも耐病性を有することから栽培管理が行いやすい。糖度は「ルピアレッド」と同等であるが、赤肉臭が少なく、くせのない味である。
 以上のことから、「空知交16号」は果実外観品質が優れ、整枝作業等の栽培管理が行いやすいため、7月下旬までに収穫となる無加温半促成作型において、「ルピアレッド」との差別性を求めている産地への普及が見込まれる。

4.普及対象地域及び普及見込み面積
普及対象地域:全道のメロン栽培地域
普及見込み面積:20ha

5.保有種子量
「空知交16号」  約10,000粒
種子親「DHM-R2」 約 2,000粒
花粉親「Dkg」 約 2,000粒

6.栽培上の留意点
1)収穫直前まで土壌水分が多い場合、あるいは過剰に果皮が硬化する管理(ハウス内の低温や乾燥)を行った場合は裂果が発生する恐れがあるため、栽培管理に注意する。
2)果形はほぼ正球であるが、温度・灌水管理によってはやや扁平になる場合がある。そのため、開花から縦ネット形成期はやや高温・多灌水気味に管理し、果実縦肥大の促進に努めるとともに、横ネット形成期以降の高温・多灌水管理は避ける。
3)ハウス抑制作型ではハウス内が高温になりやすく、扁平果や裂果の発生が懸念されるため、栽培には適さない。
4)加温半促成及びトンネル早熟作型は未検討である。



              空知交16号              ルピアレッド

写真 無加温半促成作型における果実およびネットの比較