成績概要書(2008年1月作成)
研究課題:ホワイトアスパラガス伏せ込み促成栽培技術
     (ホワイトアスパラガス伏込み栽培技術の開発)
担当部署:花・野菜技術センター 研究部 野菜科、(財)北海道農業企業化研究所
協力分担:
予算区分:共同
研究期間:2005〜2006年度(平成17〜18年度)
1. 目的
冬期の農業所得確保を目的に新たな冬の特産品を作出することは北海道農業にとって重要である。冬期に出荷するホワイトアスパラガスを北海道の新ブランドとして確立するためにホワイトアスパラガスの伏せ込み促成栽培技術(冬期生産技術)の開発を目指す。
2.方法
1)ホワイトアスパラガス伏せ込み促成栽培の検討と品種選定(花・野菜技術センター)
供試品種:‘ガインリム’、‘ウェルカム’、‘スーパーウェルカム’(2005〜2006年度)
試験規模:1区12株×3反復 育苗法:9cmポリポット育苗 根株養成法:30cm高畦マルチ栽培
播種:3月上旬 鉢上げ:4月上旬 定植:6月上旬 根株掘取り:11月上旬 
根株伏せ込み:11月下旬 若茎軟白方法:遮光フィルム被覆による無培土法
伏せ込み根株数:各品種13〜18株 収穫期間:37日間(2005年度)、40日間(2006年度) 
収穫調査:形状に異常がなく、24cm調製時に8g以上の若茎を規格内とした。
2)短期間根株養成法の検討(花・野菜技術センター)
(1)播種時の催芽処理の検討(2005〜2006年度)
供試品種:‘ウェルカム’ 処理水準:水温3水準(10℃、20℃、30℃) 吸水期間5水準(0
〜4日間)
(2)株養成期間の検討
供試品種:‘ガインリム’(2005〜2006年度)、‘ウェルカム’(2006年度)、
       ‘スーパーウェルカム’(2006年度)
試験規模:1区12株×3反復 処理水準:3水準(慣行法:4月上旬播種-6月上旬定植-11月
上旬根株掘取り、1年株養成法:3月上旬播種-4月上旬鉢上げ-6月上旬定植-11月上旬根株
掘り取り、1年半株養成法:7月上旬播種-8月上旬定植-翌年11月上旬根株掘り取り)
3)伏せ込み方法の検討((財)北海道農業企業化研究所)
(1)伏せ込み温度の検討(2005年度)
供試品種:‘ウェルカム’ 試験規模:1区6株×3反復 処理水準:2水準(15℃、20℃)
(2)伏せ込み時期の検討(2005〜2006年度)
供試品種:‘ウェルカム’ 試験規模:1区6〜8株×3反復 保存温度条件:2℃
伏せ込み時期:2005年度 3水準(12月20日、1月20日、2月20日)、
2006年度 2水準(11月24日、1月12日)  
3. 成果の概要
1)ホワイトアスパラガス伏せ込み促成栽培の検討と品種選定
‘ガインリム’は2か年ともに根株生重が軽く、低収であった(表1)。‘ウェルカム’と‘ス
ーパーウェルカム’の品種間差は判然としなかったが、種子価格は‘ウェルカム’が‘スーパ
ーウェルカム’の2/3程度である。2222株/10aの栽植密度で1年間根株を養成すると‘ウェ
ルカム’では360kg/10a以上の規格内収量が得られると考えられた。
2)短期間根株養成および伏せ込み方法の検討
(1)催芽処理: 水温20〜30℃で2〜3日間種子を浸漬すると充分な催芽効果が得られ、播種後の出
芽勢が向上した(図表省略)。
(2)根株養成期間: 100日前後育苗したポリポット苗を6月上旬までに定植し、11月上旬に根株を
掘り取れば、1年株養成法でも生重1kgに近い根株を養成できた(表1、2)。また、他の作
業との兼ね合いから100日育苗が難しい場合や6月上旬までに定植ができない場合は1年半株
養成法を用いることで生重1kg以上の根株を養成可能であった(表2)。1年半株養成法は1
年株養成法と比較して作物の在圃期間が長くなるため病虫害防除などの栽培管理が増えるものの、育苗管理や定植作業の省力化が可能である(図表省略)。
(3)伏せ込み方法の検討: 伏せ込み時の温度(気温および地温)は20℃で収量性が高く(表3)、
 掘り取った根株を乾燥させずに2℃で保存すると伏せ込み時期を遅らせることができた(図表
省略)。
(4)本試験成果と他県のグリーン栽培での事例を参考に栽培体系をまとめた(図1)。

  

   


4. 成果の活用面と留意点
1)道央地域で12月中旬からホワイトアスパラガスを収穫する場合に活用できる。
5.残された問題とその対応
1)2L規格率が高い根株養成法(栽植密度、植付深等)の検討。
2)伏せ込み促成栽培の根株養成に適した施肥量の検討
3)経済性の評価