成績概要書(2008年1月作成)
研究課題:遮光資材のべたがけ被覆による培土ホワイトアスパラガスの着色抑制技術(岩宇地域におけるホワイトアスパラガスの省力・長期出荷のための栽培管理法)
担当部署:原子力環境センター 農業研究科
協力分担:
予算区分:道 費
研究期間:2004〜2007年度(平成16〜19年度)
1.目的
 培土によるホワイトアスパラガス栽培では若茎の頭部を日射により着色させないために、1日朝夕2回の収穫が基本であり、この労働性及び経験の必要性が栽培減少の一要因となっている。このため、本試験では遮光資材のべたがけ被覆により着色を抑制し、1日1回の収穫で2回収穫と同等の品質と収量性を確保できることを実証する。
2.方法
1)試験場所  共和町梨野舞納 現地圃場(品種:ガインリム)H17〜H19(3反復)   
          共和町宮丘 原環センター圃場(品種:同)H18〜H19(2反復)
2)使用資材   トリプルシート(サイレージ用シートカバー:厚さ200μm3層構造、片面黒色、片面白色のシート)
3)処理区
(1)被覆方法:培土上に直接べたがけ被覆(表面を黒とした場合は「黒べた」、表面を 白とした場合は「白べた」と呼称(以下同じ))
(2)設置方法:シートの片側を固定し、もう一方を開閉可能なように簡易固定
(3)収穫期間:無被覆区、「黒べた」区は40日間、「白べた」区は50日間
(4)収穫回数:原則1日1回(午前)、ただし原環センター圃場の無被覆区にあっては、1日1回と、1日2回(午前、夕刻)
4)調査項目
(1)収量調査:若茎数、重量、茎径、着色程度注1)、頭開度注2)、若茎のBrix値および 培土内の地温推移
(2)収穫後の生育調査:茎数、茎径、重量(枯凋後の茎葉部)、Brix値(枯凋後の貯蔵根)
  (注1:着色程度「無」〜「極濃」の5段階、注2:頭開度指数「1」〜「10」の10段階、数値が大きいほど締まりが良いことを示す。)
3.成果の概要
1)べたがけ被覆により培土内地温が変化し(図1)、温度が高くなった「黒べた」では、無被覆に比べて収穫開始が早まり40日間収量は増加し、温度が低下した「白べた」では収穫開始が遅れ40日間収量は減少したが、50日間収量では増加した(表1)。つまり、「黒べた」には前進栽培性があり、「白べた」には抑制栽培性がみられた。
2)べたがけ被覆により着色抑制(図2)が図られ、総収量に対する規格内収量が向上した(表1)。
3)「黒べた」では、収穫期間中の若茎Brix値の減少が早く、当年の収穫後の生育が若干劣る傾向がみられたが、1年間の被覆栽培後、翌年の無被覆栽培での収量、生育は前年の無被覆栽培後に比べて劣ることはなかった。また50日間収穫の「白べた」も同様であった(表2)。
4)べたがけ被覆により、規格内収量は現地試験で無被覆(1日1回収穫)に比べ「黒  べた」(40日収穫)で1.8〜2.3倍、「白べた」(50日収穫)で1.9〜2.0倍となった。  所内試験では無被覆1日2回収穫と比べ規格内収量は、「黒べた」で1.2〜1.7倍、 「白べた」で1.0〜1.5倍に向上し、1日1回での収穫が可能であった(表3)。
5)以上から農家慣行栽培とべたがけ被覆栽培を比較したのが表4である。



  

  
  
  
  
4.成果の活用面と留意点
1)培土による露地ホワイトアスパラガス栽培の収穫省力化と出荷期間の延長に資する。
2)本試験は共和町の品種「ガインリム」での試験結果である。
3)被覆処理は1年のみで、他の年は無被覆での試験結果である。
4)被覆資材はトリプルシート(片面黒片面白)を使用した。
5.残された問題とその対応
1)べたがけ方法、開閉方法の改良
2)被覆資材による連用栽培時のアスパラガスの適正な収穫期間