成績概要書(2008年1月作成)
課題分類:
研究課題: デオキシニバレノールの現地検出を目的とした簡易測定技術
       (牛赤カビ中毒症制御のためのデオキシニバレノール現地検出技術の開発)
担当部署: 畜試 基盤研究部 病態生理科
協力分担: フロンティア研究所
予算区分: 外部資金(JSTシーズ発掘試験)
研究期間: 2007年度(平成19年度)
1.目的
 乳牛の疾病発生や生産阻害の原因として懸念されているカビ毒デオキシニバレノール(DON)について、生産者や普及指導員などが酪農現場で実施できる簡易なDON測定技術の開発を目指し、特別な操作や分析機器を必要としない酵素免疫測定法(ELISA)を検討する。
2.方法
1)簡易測定技術開発のためのデオキシニバレノール抗体の作製
 (1)ELISA間接法による免疫動物の血清中DON抗体の測定
 (2)DON検出のための作製抗体を用いたELISA競合法の検討
2)イムノスティックを用いた簡易測定技術の検討
 イムノスティックと作製抗体を用いて簡易化したELISA競合法によるDON検出の検討
3.成績の概要
1)-(1) DONを実験動物10頭に免疫し、ELISA間接法により血清中DON抗体を検出したところ、血清希釈10,000倍で吸光度0.2以上となる高力価の抗体が7頭に産生された(表1)。
1)-(2) 作製抗体を用いたELISA競合法によってDON検出を試みたところ、高力価抗体7頭中3頭の抗体では、検出するDON濃度が高くなると、吸光度はDON濃度に関連して減少した(図1)。これら3頭の抗体は10ppbまでのDON濃度を検出できる高感度の抗体であると考えられた。残りの高力価抗体産生の4頭および非産生の3頭計7頭の抗体ではDON濃度に関連した吸光度の変化を認めず、DON検出に不適と考えられた(図1)。
2) 簡易測定技術として、作製した高感度DON抗体を貼り付けたイムノスティック(図2)によって、ELISA競合法(図3)を実施したところ、反応液の発色を目視することで0、40および80ppbのDON濃度を判別することが可能であった(図4)。

 以上より、カビ毒DONについて、酵素免疫測定法に利用できる高感度の抗体を作製した。また、この抗体はイムノスティックによる簡易なDON測定に利用できることが判明した。

     

4.成果の活用面と留意点
1)酪農現場で実施できるDON簡易測定キット開発の基礎技術として活用される。

5.残された問題とその対応
1)飼料サンプルによる実証