成績概要書  (2008年1月作成) 
研究課題 : 生ビートパルプ、スイートコーンパルプ、規格外ニンジンの飼料価値
       (地域資源を有効活用した自給飼料主体TMR供給システムの開発)
担当部署 : 道立畜産試プロジェクトチーム
予算区分 : 道費(重点領域特別研究)
研究期間 : 2005〜2007年度(平成17〜19年度)
1.目的
飼料コストの削減を目的として価格の安い農産副産物の有効利用を図るため、資源量が比較的多く、飼料価値が明らかにされていなかった「生ビートパルプ」、「スイートコーンパルプ」、「規格外ニンジン」のサイレージ発酵品質および飼料価値を明らかにする。
2.方法
1) 生ビートパルプサイレージの飼料価値
  処理:糖蜜添加水準5(0,5,10,15,20%)
  調査項目:化学組成、TDN含量、泌乳牛の嗜好性および採食量
2) スイートコーンパルプサイレージの飼料価値
  処理:スイートコーンの収穫時期3(8月下旬、9月上旬、9月中旬)
  調査項目:化学組成、TDN含量、泌乳牛の嗜好性および採食量
3) 規格外ニンジンサイレージの飼料価値
  処理:水分調整材添加6(①無添加、②ビートパルプ20%添加、③同40%添加、
                  ④規格外小麦20%添加、⑤同40%添加、⑥同60%添加)
  調査項目:化学組成、TDN含量、泌乳牛の採食量
3.成果の概要
1) 生ビートパルプサイレージの飼料価値(表1)
 (1)生ビートパルプサイレージは、Vスコア98と発酵品質は良好であった。
 (2)糖蜜無添加の生ビートパルプサイレージは、乾燥ビートパルプに比べてNDF含量が多いが(65.7 vs. 50.0%)、TDN含量は同程度であった(72.0 vs. 74.6%)。
 (3)糖蜜添加量の増加に伴い、NDF含量は低下し、嗜好性および採食量が高まる傾向にあった。TDN含量は糖蜜10%添加が73.2%でもっとも高く、糖蜜を添加する場合の添加量は10%が適当と考えられた。糖蜜を10%添加した本サイレージの自由採食量は乾物9.7kgであった。
2) スイートコーンパルプサイレージの飼料価値(表2)
 (1)いずれの収穫時期でもサイレージのVスコアは96以上と発酵品質は良好であった。
 (2)化学成分およびTDN含量は、乳熟期のとうもろこしサイレージと同程度であった。収穫時期が遅いスイートコーンパルプサイレージほどデンプン含量およびTDN含量が高まった。
 (3)自由採食量は黄熟期のとうもろこしサイレージよりもやや劣るが、乾物で9.7〜12.8kg/日であり、収穫時期が遅いほど採食量は多くなる傾向にあった。
3) 規格外ニンジンサイレージの飼料価値(表3)
 (1)無細切の規格外ニンジンのみでも脱気密閉により、良質なサイレージ発酵が得られた。
 (2)ニンジンは水分含量が高いためサイレージの乾物歩留まりは55%程度と低いが、ビートパルプや規格外小麦などの水分調整材を混合することにより、サイレージの乾物率および乾物歩留まりは高まった。
 (3)ニンジンサイレージは水分含量が90%以上と高いが、乾物中のTDN含量は81%と高かった。
 (4)ニンジンサイレージの泌乳牛への給与量は現物30kg(乾物3kg)程度が上限と考えられた。

 以上のことから、生ビートパルプ、スイートコーンパルプ、規格外ニンジンの各サイレージは発酵品質が良好、かつTDN含量も高いこと、またこれらは酪農現場での利用事例もあることから、泌乳牛用のTMR用飼料としても十分活用可能である。

   

   

4.成果の活用面と留意点
1) 生ビートパルプ、スイートコーンパルプおよび規格外ニンジンは、それぞれビートパルプペレット、とうもろこしサイレージおよび濃厚飼料の一部と代替が可能である。

5.残された問題とその対応
1) 規格外ニンジンの大量サイレージ調製方法
2) その他農産副産物(ナガイモ、ダイコン、タマネギ等)の飼料化