成績概要書(2008年1月作成)
農業現場に普及している近赤外分光装置を用いた小豆ポリフェノール含量、原粒水分の非破壊測定の可能性および栽培年次、産地等の変動要因が非破壊測定に及ぼす影響について検討する。
3.成果の概要 1)道産小豆のポリフェノール含量および原粒水分を近赤外分光装置 NIRLab N-200型で測定するための検量線を作成した。 2)検量線作成に用いた小豆のポリフェノール含量は224〜589mg/100g FWの範囲に、原粒水分は8.7〜15.3%の範囲に分布しており、検量線作成・評価するためには十分に広い分布範囲であった(表2)。 3)作成した検量線は、予測標準誤差(SEP)がポリフェノール含量に関しては39.2mg/100g FW、原粒水分に関しては0.46%といずれも目標SEP(ポリフェノール含量;50.0mg/100g FW、原粒水分;1.0%)の値を下回っていた(表2、図3、4)。 4) 2005、2006年道内各地産小豆を用いて、作成した検量線の適合性を評価したところ、ポリフェノール含量、原粒水分ともに産地、栽培年次(表3)および品種の違い(データ省略)による影響は小さいと考えられた。また、検量線作成・評価用試料とは栽培年次の異なる2007年JA十勝池田町産試料への適合性を評価したところ、SEPはポリフェノール含量に関しては28.6mg/100g FW、原粒水分に関しては0.39%であり、適用可能であると考えられた(表3)。 5)トラック荷台内の変動係数は1.82〜2.86%であり、市販の袋詰「エリモショウズ」の変動係数を下回っていたためサンプリング点数は3点程度が適当と考えられ(データ省略)、トラック到着から測定結果が判明するまでの所要時間は20分程度と想定された(図5)。 6)以上の結果より、NIRLab N-200型による小豆のポリフェノール含量および原粒水分の非破壊測定は可能であることが明らかとなった。また、作成した検量線はバイアス補正することにより、産地および栽培年次の異なる試料に対しても適用可能と考えられた。
1)近赤外分光装置 NIRLab N-200型を用いることにより、農業現場において小豆のポリフェノール含量および原粒水分が非破壊で簡易且つ迅速に測定可能である。 2)本試験で用いたものと同型装置においては、作成した検量線を移設することにより本技術が利用可能である。 3)本技術は農協施設で受け入れる際に測定することを想定している。 4)検量線はバイアスが生じる場合があるので毎年、当年産の小豆試料を用いてバイアス補正する必要がある。 5.残された問題とその対応 1)供試5品種以外の品種への適用 |