成績概要書(2008年1月作成)
研究課題:メロンテクスチャーの食味に対する影響と評価法
       (メロンのテクスチャー評価法の開発)
担当部署:原子力環境センター 農業研究科
協力分担:花・野菜技術センター栽培環境科、天使大学、きょうわ農協
予算区分:道費(一般)
研究期間:2005〜2007年度(平成17〜19年度)
1.目 的
 高品質なメロン供給を目指す生産技術開発、品種育成および流通・販売場面での活用のため、メロンの食味におけるテクスチャー(食感)の重要性を明らかにするとともに、物性測定機器を用いたテクスチャー評価法を開発する。
2.方 法
1)官能評価:追熟日数の異なる試料(JAきょうわ共選品、花野菜センター収穫物)を供試して、各項目を次の基準により7段階の評点法(絶対評価)で評価した。官能検査は原環センター、花・野菜技術センター、天使大学で実施した。
評価パネル数はそれぞれ22〜31名。試験は2005〜2007年に計11回実施した。


2)機器分析:テクスチャーアナライザーにより果肉を圧縮したときの応力(N;ニュートン、1N=101.9gf)を連続的に測定した(硬さ、なめらかさ)。また、一定荷重で果肉を圧縮することにより得られた搾汁液量を測定した(ジューシーさ)。プローブ(試料と接する治具)は直径2mm円筒型(P2)、直径10mm円筒型(P10)、直径20mm円筒型(P20)、直径75mmプレート型(P75)およびブレードセット(BD)プローブを供試した。各処理4果を供試し、室温で測定した。

3.成果の概要
1)アンケートおよび各種試料の食味官能検査(計11回)結果から、メロンの食味総合評価には甘味およびテクスチャーが重要であり、高い相関関係が認められた(データ省略)。
2)硬さと糖度が甘味評価に及ぼす影響を検討した結果、試料間の糖度がほぼ同等の場合、軟らかいものの方が、甘味評価は高く、食味総合評価も高かった(表1、上段)。また、糖度の差が2%程度の場合、糖度が低くてもより軟らかい試料の方が甘味・食味総合ともに高かった(表1、中段)。さらに、糖度の差が5%程度の場合、糖度が低くてもより軟らかい評価であれば甘味評価がほぼ同等となる場合もあった(表1、下段)。したがって、官能による甘味・食味総合は、糖度よりテクスチャーが大きな影響を及ぼしていることが示唆された。
3)テクスチャー測定曲線は、いずれのプローブを用いた場合でも試料圧縮に伴って測定値が上昇し、最大圧縮時付近で最大値を示した(図1)。この最大値を「硬さ測定値」として集計した。
4)果肉圧縮時に測定された応力の最大値「硬さ測定値」と官能による「硬さ評価値」との間には有意な正の相関が認められた(表2)。P20プローブによる果肉の「硬さ測定値」により、官能検査による硬さを評価できると判断された。
5)果肉試料に荷重(P75)をかけて得られた搾汁液量とジューシーさ評価値の間には有意な正の相関が認められた(表3)。このことから、搾汁液量でジューシーさを評価できると判断された。
6)なめらかさ評価値とP2プローブによるテクスチャー測定時に得られた「微小ピーク数」との間に有意な負の相関が認められた(表4)。このことから微小ピーク数(閾値0.10N)でなめらかさを評価できると判断された。
7)テクスチャー総合評価値が「普通(=0)」評価以上になる測定値は、硬さ(圧縮時最大値)が15〜50N(図2)、ジューシーさ(搾汁液量)0.2〜1.5g、なめらかさ(微小ピーク数)9.0個未満であった。
8)以上をとりまとめ、表5にメロンのテクスチャー評価法および高品質メロンに望まれるテクスチャー測定値の指標を示した。


4.成果の活用面と留意点
1)高品質メロンの生産・流通技術開発および品種育成における品質評価技術として活用する。
2)選果、流通、販売に対してテクスチャーの重要性が提言でき、食べ頃表示などの品質情報の提供などを通じて、高品質メロンの供給が可能となる。
5.残された問題点とその対応