【指導奨励上参考に資すべき事項】
水田除草培土に関する試験成績

岩見沢水稲試験地

 

1. 成績の概要
  水田に除草培土を行っても、水稲の植生の変化は思ったより顕著でない。従って除草培土によっての増収は余り期待ができないが、除草目的に重点が注がれる地帯では、五分ー
 一寸程度の培土で一応その目的を達することができる。
  冷床苗栽培、直播栽培共に品種による差は認められるが、節間伸長始から幼穂形始五日目迄の間の培土では培土施行の有無並びに時期の違いによる玄米収量の差が認められ
 ず、水田培土の施行し得る期間が相当永いことが窺われる。従って稍早目に培土を行っても一般に考えられている程玄米収量に悪い影響を及ぼすことがすくないから、水田除草器で中
 耕を行い、節間伸長が開始せられたら培土作業を行うが適当である。 
  培土作業をこの時期よりも早く行う時は、玄米収量は次第に減じ且つ培土作業終了後に生育を開始する雑草が繁茂して以降の除草労力を多く必要とするようになる。亦未だ稲体が幼
 弱のため損傷するものが多い。晩きに失する時は株張り、根張りが多くなって作業が困難であるばかりでなく、雑草の生棲量が急激に増加し且つ草丈が高くなり、覆土埋没されぬものが
 多くなって、培土施工前の捨草作業が手取除草作業に類似するようになって除草労力を多く必要とする様になる。又、培土を行う時は落水して行うため、冷害危険期に培土作業を行うこ
 とは障害型の冷害を蒙る率が多くなる。従って幼穂形成頃迄に終わる様にすることはその危険を避けるためにも有効である。 

2. 昭和25年度成績
 (1) 冷床苗栽培の場合
  水稲農林28号
番号 試験区別 培土期
(月日)
分げつ始
(月日)
6月30日 出穂期
(月日)
成熟期
(月日)
成熟期における 1.5坪当
玄米重量
(匁)
同上
収量割合
収穫後の
雑草繁茂
状況
草丈
(cm)
茎数
(本)
主稈長
(cm)
穂長
(cm)
茎数
(本)
1 無培土   6.22   36.9    5.8 7.29 9.6 64.6   18.7   16.4 431 100.0 9
2 節間伸長始培土 6.30 38.3 6.3 67.7 19.7 16.1 518 120.2 6
3 幼穂形成始培土 7.3 38.5 6.3 66.7 19.1 16.9 495 114.8 7
4 幼穂形成始5日目培土 7.8 38.6 5.8 65.8 19.2 16.2 533 123.7 7

  栄光
番号 試験区別 培土期
(月日)
分げつ始
(月日)
7月1日 出穂期
(月日)
成熟期
(月日)
成熟期における 1.5坪当
玄米重量
(匁)
同上
収量割合
収穫後の
雑草繁茂
状況
草丈
(cm)
茎数
(本)
主稈長
(cm)
穂長
(cm)
茎数
(本)
1 無培土   6.22   34.3    7.8 8.1 9.9 61.6   16.8   16.8 526 100.0 7
2 節間伸長始培土 7.1 35.0 7.7 9.10 60.9 17.4 15.4 517 98.3 6
3 幼穂形成始培土 7.5 33.7 7.5 9.9 58.0 16.8 15.5 513 97.5 5
4 幼穂形成始5日目培土 7.10 33.9 7.7 9.10 61.8 16.3 17.0 533 101.3 4

  晩生栄光
番号 試験区別 培土期
(月日)
分げつ始
(月日)
7月3日 出穂期
(月日)
成熟期
(月日)
成熟期における 1.5坪当
玄米重量
(匁)
同上
収量割合
収穫後の
雑草繁茂
状況
草丈
(cm)
茎数
(本)
主稈長
(cm)
穂長
(cm)
茎数
(本)
1 無培土   6.23   37.1    7.1 8.3 9.13 73.4   19.0   15.4 549 100.0 8
2 節間伸長始培土 7.3 38.7 7.5 9.14 75.3 19.3 14.2 556 101.3 4
3 幼穂形成始培土 7.10 38.6 6.8 74.4 18.9 15.7 539 98.2 5
4 幼穂形成始5日目培土 7.15 38.9 7.4 8.2 75.2 19.0 15.4 553 100.7 3
  

 (2) 直播栽培の場合
  水稲農林28号
番号 試験区別 培土期
(月日)
分げつ始
(月日)
7月3日 出穂期
(月日)
成熟期
(月日)
成熟期における 1.5坪当
玄米重量
(匁)
同上
収量割合
収穫後の
雑草繁茂
状況
草丈
(cm)
茎数
(本)
主稈長
(cm)
穂長
(cm)
茎数
(本)
1 無培土   6.27   28.8   18.0 8.1 9.11 63.2   16.7   20.6 344 100.0 9
2 節間伸長始培土 7.6 29.4 18.9 9.13 62.8 17.4 21.3 398 115.7 6
3 幼穂形成始培土 7.9 28.7 18.0 61.3 16.8 18.8 385 111.9 7
4 幼穂形成始5日目培土 7.14 29.0 18.1 9.11 63.2 17.1 21.0 416 120.9 7

  栄光
番号 試験区別 培土期
(月日)
分げつ始
(月日)
7月1日 出穂期
(月日)
成熟期
(月日)
成熟期における 1.5坪当
玄米重量
(匁)
同上
収量割合
収穫後の
雑草繁茂
状況
草丈
(cm)
茎数
(本)
主稈長
(cm)
穂長
(cm)
茎数
(本)
1 無培土   6.26   25.9   25.5 8.5 9.14 58.7   14.3   22.4 418 100.0 7
2 節間伸長始培土 7.8 25.5 21.7 58.3 14.0 19.8 423 101.2 6
3 幼穂形成始培土 7.13 25.8 26.5 56.7 13.9 21.6 437 104.5 5
4 幼穂形成始5日目培土 7.17 25.2 25.5 56.8 14.0 22.3 429 102.6 4

  晩生栄光
番号 試験区別 培土期
(月日)
分げつ始
(月日)
7月3日 出穂期
(月日)
成熟期
(月日)
成熟期における 1.5坪当
玄米重量
(匁)
同上
収量割合
収穫後の
雑草繁茂
状況
草丈
(cm)
茎数
(本)
主稈長
(cm)
穂長
(cm)
茎数
(本)
1 無培土    6.26   31.4   25.2 8.7 9.18 67.0   16.6   20.4 454 100.0 8
2 節間伸長始培土 7.9 31.7 24.1 9.19 66.4 16.9 19.9 456 100.4 4
3 幼穂形成始培土 7.16 31.9 23.2 68.2 17.0 20.2 462 101.8 5
4 幼穂形成始5日目培土 7.21 31.8 25.1 66.7 16.6 19.8 443 97.6 3