【指導奨励上参考に資すべき事項】

玉蜀黍 ノースウエスターンデント×T41、シルバーキング×T41 に関する試験成績

北海道農業試験場飼料作物研究室

  

組合せ名  ノースウエスターンデント×T41……玉蜀黍北交1号
        シルバーキング×T41 ……………玉蜀黍北交2号

 

1. 育成経過
 自殖系統「T41」は「甲州」及び「黄早生」から収斂法によって育成された系統で既に昭和21年の組合せ能力検定試験に於いて高い組合せ能力を示していた。

 

2. 供試材料
 イ、 組合せ
  母品種「ノースウエスターンデント」及「シルバーキング」はデント種に属し、前者は早熟、後者は中熟である。
  「ノースウエスターンデント×T41」は早熟「シルバーキング×T41」は中熟の子実用を目的として組合され、昭和25年26年に生産力検定試験を行った。
 ロ、 品種及系統特性
  T41、ノースウエスターンデント及びシルバーキングの主要特性は次の通りである。   
系統名 雄穂
抽出期
絹糸
抽出期
成熟期
草丈 有効
雌穂数
雌穂長
(cm)
雌穂径
(cm)
粒列数 粒色 粒の種類
T41 7月25日 8月5日 9月11日 180.9 1.3 16.9 3.2 8.8 フリント
372ノースウエスターンデント 23日   1日   10日 185.8 1.1 14.6 4.0 11.8 濃赤 デント
215シルバーキング 8月1日   7日   12日 208.2 1.0 13.9 4.6 16.0

 

3. 試験成績

 〔1〕札幌試験地の成績
  イ、昭和25年度
番号 組合せ 雄穂
抽出期
絹糸
抽出期
成熟期
草丈
(cm)
反当子実
重量(貫)
あわの
めいが
黒穂病 倒伏 一升重
(匁)
千粒量
(g)
粒色
  ノース×T41 7月18日 7月24日 9月7日 239.7 130.4 極少 極少 極少 369 358
  シ ル ハ ゙ー×T41 17日 28日 11日 249.1 137.2 350 372 黄白
札品314 ウイスコンシン12号 25日 31日 14日 265.8 139.4 362 280
  ノースウエスターンデント 20日 26日 7日 241.6 111.4 357 358 濃赤
181 ロングフェロー 18日 27日 5日 223.3 104.4 371 366
26 坂下 15日 25日 8月30日 213.2 93.7 370 318
註 「ノースウエスターンデント×T41」以下「ノースウエスターンデント」までの反当子実重量の比較のためのl.s.dは16貫136「ロングフェロー」と「坂下」の比較のためのl.s.dは10×120貫で両者の間の比較のためには13貫248がl.s.dである。
 ※ Least significant defference(最少有意差)以下同様

  ロ、昭和26年
番号 組合せ名 雄穂
抽出期
絹糸
抽出期
成熟期
草丈
(cm)
反当子実
重量(貫)
あわの
めいが
黒穂病 倒伏 一升重
(匁)
千粒量
(g)
  ノース×T41 7月31日 8月6日 9月16日 225.7 115.0 極少 極少 極少 336 305
  シ ル ハ ゙ー×T41 8月1日 7日 17日 236.3 116.8 336 282
札品314 ウイスコンシン12号 6日 11日 17日 239.1 78.0 314 180
181 ロングフェロー 7月31日 6日 16日 201.1 92.4 350 294
26 坂下 29日 6日 12日 187.0 80.0 362 292
    l.s.d 10.86   

 〔2〕十勝支場の成績
  イ、昭和25年
番号 組合せ名 雄穂
抽出期
絹糸
抽出期
成熟期
草丈
(cm)
反当子実
重量(貫)
あわの
めいが
黒穂病 倒伏 一升重
(匁)
千粒量
(g)
  ノース×T41 7月24日 7月31日 9月13日 262.0 115.7 稍少 422 386
  シ ル ハ ゙ー×T41 24日 8月1日 14日 225.0 131.9 404 388
  ノースウエスターンデント 23日 7月31日 12日 242.0 111.3 408 387
札品181 ロングフェロー 24日 8月2日 15日 228.0 103.5 420 370
26 坂下 20日 1日 8日 220.0 80.7 426 366
  坂下 17日 7月28日 7日 215.0 94.1 420 400
    l.s.d 11.41   

  ロ、昭和26年
番号 組合せ名 雄穂
抽出期
絹糸
抽出期
成熟期
草丈
(cm)
反当子実
重量(貫)
あわの
めいが
黒穂病 倒伏 一升重
(匁)
千粒量
(g)
  ノース×T41 8月3日 8月9日 9月24日 259.7 157.0 346 378
  シ ル ハ ゙ー×T41 7日 11日 25日 272.5 167.7 340 359
札品26 坂下 1日 9日 17日 223.1 111.1 稍少 351 337
181 ロングフェロー 3日 10日 20日 234.2 113.1 稍多 353 375
  坂下 7月31日 7日 16日 226.5 130.2 稍少 344 392
    l.s.d 24.84   

 〔3〕北見支場の成績
  イ、昭和25年
番号 組合せ名 雄穂
抽出期
絹糸
抽出期
成熟期
草丈
(cm)
反当子実
重量(貫)
あわの
めいが
黒穂病 倒伏 一升重
(匁)
千粒量
(g)
  ノース×T41 7月17日 7月30日 9月16日 144.5 50.2 321 351
  シ ル ハ ゙ー×T41                    
札品26 坂下 7月14日 28日 8月25日 135.8 28.6 359 319
181 ロングフェロー 19日 30日 9月7日 146.3 32.7 337 361
  札幌8行 14日 23日 8月29日 139.8 49.3 336 333
    l.s.d 17.41  

  ロ、昭和26年
番号 組合せ名 雄穂
抽出期
絹糸
抽出期
成熟期
草丈
(cm)
反当子実
重量(貫)
あわの
めいが
黒穂病 倒伏 一升重
(匁)
千粒量
(g)
  ノース×T41 7月29日 8月8日 9月20日 260.7 155.2 稍少 353 197
  シ ル ハ ゙ー×T41  8月1日  11日  20日 267.9 150.2  〃 347 181
札品26 坂下 7月28日 9日 17日 230.7 105.2 369 182
181 ロングフェロー 29日 8日 20日 233.9 104.2 361 182
  札幌8行 27日 3日 13日 204.4 120.8 稍少 362 188
    l.s.d 27.80   

 〔4〕渡島支場の成績(昭和26年)
番号 組合せ名 雄穂
抽出期
絹糸
抽出期
成熟期
草丈
(cm)
反当子実
重量(貫)
あわの
めいが
黒穂病 倒伏 一升重
(匁)
千粒量
(g)
  ノース×T41 7月26日 8月2日 9月7日 244.0 133.5   344 390
  シ ル ハ ゙ー×T41 26日  5日  8日 278.0 141.7   341 360
札品26 坂下 25日 1日 5日 221.0 84.0   355 343
181 ロングフェロー 26日 3日 21日 232.2 89.9   348 348
  ロングフェロー 26日 5日 25日 261.0 97.6   362 425
    l.s.d 37.81   

 〔5〕各地に於ける変異係数(誤差に基づく)
年次 札幌(%) 十勝(%) 北見(%) 渡島(%)
昭和25年 8.19
6.47
6.72
17.41
-
昭和26年 10.71 9.71 11.61 15.78

 

4. 試験成績の考察
 「ノースウエスターンデント×T41」及び「シルバーキング×T41」は対照品種に比べて絹糸抽出期では渡島では早く札幌では同じ、十勝北見では僅かに遅くなっている。成熟期については渡島札幌では絹糸抽出期と同じ傾向であるが、十勝、北見では対照品種との差が絹糸抽出期より稍大きくなっている。
 子実重量については各地とも対照品種より顕著に高く両年とも又4ヶ所の成績ともよく一致している。
 耐病性「あわのめいが」被害度倒伏の程度は対照品種に比較して殆ど差は認められない。
 以上の結果から 「ノースウエスターンデント×T41」「シルバーキング×T41」は対照品種(渡島札幌はロングフコロー、十勝、北見は札幌八行)に代わり得る子実用優良組合せと認められる。