【指導奨励上参考に資すべき事項】

安水の肥効に関する試験成績

農芸化学部

 

アンモニア水を肥料として施用する場合其の濃度及び施用法に注意することが必要であるので左記成績を参考にして誤りない指導を加えられたい。

 1. 小麦は0.06%窒素を含むアンモニア水により発芽が害されるが土壌と混じそれに少なくとも五分覆土すれば害されない許りでなく1%窒素を含むものでも容水量の80%迄加えても害も亦
   揮散の恐れもない。
 1. アンモニアの揮散は施用後直ちに覆土しなければ火山性土では10%程度で大であるが其の他の土壌では2%内外で少い、従って施用後直ちに覆土さえすれば揮発は問題にならな
   い。
 1. 硝酸化成速度は沖積土に比し重粘土、火山性土、泥炭等は何れも少ない、然し何れの土壌でも硫安に比較してアンモニア水は硝酸化成速度は大である。
 1. 窒素の吸収率も硫安に比しアンモニア水は高い。
 1. アンモニア水の肥効につき小麦、馬鈴薯に対し0.5%窒素を含むものの肥効を硫安に比較するに泥炭土では優るが他の土壌では硫安と等しく、又20%窒素を含む濃厚アンモニア水を
   用いた場合両作物共に発芽及び初期生育を害することなく肥効は硫安と等しい。

 施用法、肥効並びに吸収率試験成績
区別 春播小麦 馬鈴薯 以上平均
  本場(沖積土) 北見支場 美唄泥炭地 紋別重粘地 本場(沖積土) 北見支場 美唄泥炭地 紋別重粘地 小麦 馬鈴薯
収量割合 窒素吸収率 収量比 数量比 収量比 収量比 収量比 収量比 収量比
無肥料区 43 44 44 51 64 70 63 86 45 71
無窒素区 52 48 61 55 75 76 61 91 54 76
硫安区 100 37.41 100 100 100 100 100 100 100 100 100
安水無覆土区 96 39.93 88 92 98 85 99 92 94
安水5分覆土区 99 49.91 105 124 101 104 95 115 106 107 105
安水1寸覆土区 95 49.95 96 142 93 108 91 102 100 106 100
安水堆肥加用区 116 99 160 126 138 97 123 112 125 117