【指導奨励上参考に資すべき事項】

水田地力に関する試験成績

上川支場

 

 稲作に於いて多収を挙げることは勿論必要であるが又一面年柄による収量の変差の小なる多収にして安定度の大なる稲作が望ましい。上川支場に於いて昭和6年以降20ヶ年に亘り各種肥料の種々なる配合が地力に如何なる変化を及ぼすかに就き試験せられた成績は次表の如くで是れに拠れば次の如くであって充分参考として多収安定なる稲作を努めて指導せられたい。

 1 .無肥料区は収量最も少なきも年柄による収量の変異度少なく比較的安定度大であって畑地に比し地力の消耗度比較的少ないことを知る。
 1. 施肥区中無機肥料配合区及び堆肥四百貫区は就中共に収量少なきも堆肥区は安定度大なるに反し無機肥料配合区は年柄による収量変異大にて安定度小である。
 1. 金肥の施用は収量に相当関係があるが安定性を少ならしむる傾向がある。
 1. 之れに反し堆肥の施用は年柄に対する安定性を増す傾がある。然し堆肥も多量に施用すれば却って安定性を減ずる傾がある。
 1.従って堆肥の適量に金肥を適当に配合施用する事が多収安定なる稲作上必要なことである。

区別 施用肥料3要素量
(反当貫)
反当平均 玄米収量
窒素 燐酸 加里 玄米量
(貫)
同上比 変異
係数(%)
1.無肥料区 0 0 0 52.6 68 33.1
2.堆肥400貫区 2.440 1.360 2.360 73.5 95 32.7
3.堆肥600貫区 3.660 2.040 3.540 81.0 105 34.2
4.無機配合(硫安、過石)区 1.040 0.660 0 77.3 100 36.2
5.無機配合(硫安、過石)堆肥加用区 3.480 2.020 2.360 81.5 105 42.8
6.無機配合(硫安、過石、硫加)魚肥、堆肥加用区 2.426 1.781 2.460 81.9 106 33.9