【指導奨励上参考に資すべき事項】

青色蛍光灯による二化メイ虫防除試験成績

道立農業試験場病虫部

 

調査成績は下記の通りであった。

Ⅰ 無点灯区と点灯区に於ける二化メイ虫被害状況
  洞爺村に於ける調査
区別 総茎数に対する被害茎数百分率(%) 平均被害率 無点灯区の被害率
100に対する比
第1回調査(24/Ⅶ) 第2回調査(10/Ⅸ)
無点灯区 54.4 83.9 69.2 100
点灯区 水盤陰影外境界 95.9 45.3 70.6 102
光源より10間 10.2 16.4 13.3 19
光源より20間 15.5 11.7 13.6 20
 備考 1. 調査場所  北海道虻田郡洞爺村(無点灯区は大字洞爺村字美沢、点灯区は字宝田)
     2. 調査品種は農林20号で被害茎数百分率は任意に各6株を抜き取ったものに就いて調査した。

 

Ⅱ 無点灯区と点灯区に於ける収量比較
 A.洞爺村に於ける調査
区別 品種 収量調査(1坪) 収量割合
総重量(匁) 籾重量(匁) 茎稈重量(匁)
無点灯区 農林20号 800 370 330 100
点灯区 水盤陰影外境界 同上 450 210 230 57
光源より10間 同上 820 508 270 138

B. 東鷹栖村に於ける調査
区別 反当実収(石) 収量割合
A 無点灯区 1.88 100
点灯区 1.91 102
B 無点灯区 2.13 100
点灯区 2.16 101
 備考 1. 点灯区では灯より10間毎に60間まで5区の坪刈を行い、夫々円周内の収量を算出した。
     2. Aの調査場所は平和農事組合で、品種は主として栄光及び富国、Bは27区農事組合で主として栄光であった。

 

考察
 以上の成績に拠れば洞爺村の場合は蛍光灯の成果比較的顕著に現れ、無点灯区に比較して約3割8分の増収を示したが、東鷹栖村の場合は其の増収率極めて低く僅かに1乃至2分の増収を示したに過ぎなかった。
 此の事実は専ら二化メイ虫の感光生態に基因するものと認められ、洞爺村の如く稲作期間の気温比較的高く、周辺山と湖水とにさえぎられた特殊環境地帯では発芽期に於けるメイ虫の誘引率が高いが然らざる地帯では誘引率劣り、従って本田に於いて蛍光灯或いは其の他の誘蛾燈による防除を主体としようとする計画は推奨し難いものと認められる。