【指導奨励上参考に資すべき事項】

ラデノクローバーの飼料価値に関する研究成績の概要

農試畜産部

 

成績の概要
 放牧地用或いは青刈用飼料としてその経済的利点の数々に因り近時頓に普及されつつあるラデノクローバーの飼料としての価値を査定するため、飼料分析及び消化試験を行った。その結果次の事項が判明した。
 (1) 水分の多い牧草であるが、その蛋白質は赤クローバーより多く白クローバーに匹敵し、繊維は白クローバーよりも多いが赤クローバーより遙かに少ない。
 (2) 消化率は、白、赤両クローバーの中間であるが、繊維の消化率は高い。
 (3) 葉、茎及び花の各部分の割合をみると刈取時期により一定ではないが、赤クローバーに比較し茎よりも葉の部分が多い牧草である。
 (4) 家畜に与えて極めて嗜好に適する牧草である。

2. 試験成績
   第1表 飼料分析成績  
試料名 水分
(%)
有機物
(%)
粗蛋白
(%)
純蛋白
(%)
粗脂肪
(%)
可溶性
無窒素物(%)
粗繊維
(%)
粗灰分
(%)
CaO
(%)
25
(%)
ラデノクローバー生草 86.6 12.11 2.96 2.03 0.96 5.35 2.82 1.29 0 0
 同   無水物 90.39 22.10 15.13 7.28 39.94 21.06 9.61 3.21 0.76
ラデノクローバー葉部 80.03 6.09 4.56 2.18 7.66 2.13 1.92
 同   無水物 30.47 22.84 10.91 38.35 10.67 9.60 3.52 0.70
ラデノクローバー茎部 88.50 1.36 0.94 0.80 4.58 3.11 1.25
 同   無水物 11.86 8.14 6.99 43.28 27.02 10.85 3.42 0.72
ラデノクローバー花部 77.95 4.83 4.12 1.73 9.50 4.27 1.71
 同   無水物 21.91 18.68 7.86 43.07 19.39 7.77 2.20 0.93
ラデノクローバー乾草 No.1 23.91 68.78 16.82 11.51 5.54 30.39 16.02 7.31
 同           No.2 33.02 60.55 14.80 10.14 4.88 2675 14.11 6.44

   第2表 消化率
項目 有機物
(%)
粗蛋白
(%)
純蛋白
(%)
粗脂肪
(%)
可溶性
無窒素物(%)
粗繊維
(%)
概要
ラデノクローバー消化率 65.98 64.20 62.41 68.87 70.59 58.07 北農試畜産部
赤クローバー生草消化率 64.00 63.00 71.00 53.00 Morrison
 同    生草開花前 74.00 65.00 83.00 60.00  〃
 同    生草中等 56.00 56.00 49.00 62.00 49.00 Kellner
白クローバー生草満開 67.00 73.00 51.00 70.00 51.00  〃

   第3表 可消化成分、可消化総栄養分及澱粉価
試料名 粗蛋白質
(%)
純蛋白質
(%)
粗脂肪
(%)
可溶性
無窒素物(%)
粗繊維
(%)
可消化
総栄養分(%)
澱粉価
(%)
ラデノクローバー生草 1.90 1.27 0.66 3.78 1.64 8.80 7.05

   第4表 ラデノクローバー生育表(参考)  於上野幌
月日 4.15 5.15 6.15 7.15 8.15 9.15 10.15 反当生草量
総計  2452.2
草丈(寸) 播種 8.0 18.0 10.9 14.9 11.2 10.7
生草量(貫) 491.4 628.7 589.6 539.4 403.1