【指導奨励上参考に資すべき事項】

水田直播株圧に関する試験成績

上川支場

 

A 第一法(昭和26年度)
  (イ) 処理方法

  (ロ) 供試品種
    栄光

  (ハ) 試験区別
    無処理区、株圧区、培土区、切根区

  (ニ) 試験経過の概要
    5月12日播種し、6月14日に株圧をした以外は順調に試験を了した。

 第二法(昭和26年度)
  (イ) 供試品種
    栄光

  (ロ) 試験区別
    無処理区、人力株圧区、立体式株圧器使用区、廻転式株圧器使用区
 
     立体式株圧器

 
     廻転式株圧器

  (ハ) 試験経過の概要
    播種期5月14日  処理区6月7日以外は順調に試験を了した。
    昭和27年度
    処理月日 6月9日 その他は26年度と全く同じである。

 

試験成績
 昭26年度
A 第一法
  (イ) 生育調査
区制 播種期
(月日)
処理日 出穂(月日) 成熟期
結実日数
6月22日調査 10月5日調査
月日 月日 草丈
(cm)
茎数
(本)
葉数
(枚)
稈長
(cm)
穂長
(cm)
穂数
(本)
無処理区 5.12 8.9 8.11 8.13 9.21 41 15. 17.2 4.9 64.2 13.7 28.1
株圧区 5.12 6.4 8.12 8.14 40 17.6 13.2 64.4 14.0 26.6
培土区 5.12 8.10 8.13 8.15 9.22 15.7 15.4 4.8 65.1 13.4 29.2
切根区 5.12 15.0 16.3 4.9 35.2 14.3 28.8

 

 

  (ロ) 収量調査
区別 反当収量 収量
割合
(%)
玄米
一升重
(匁)
粒摺
歩合
玄米
千粒重
(g)
総重量 玄米 稈重(貫)
重量(貫) 容量(石) 重量(貫) 容量(石)
無処理区 239.0 123.3 4.456 100.9 2.562 102.1 100 394 81.8 22.0
株圧区 257.3 128.8 4.638 105.6 2.680 113.2 105 394 82.0 22.0
培土区 262.8 130.1 4.688 106.9 2.714 116.5 107 394 82.2 22.2
切根区 247.8 122.4 4.494 101.5 2.582 109.0 101 393 81.6 22.0
  備考  本試験反当施肥料   硫安5貫、過石7貫、硫加1貫、魚粕5貫、堆肥200貫

B 第二法
  (イ) 反当所要時間調査
試験区分 反当所要評価
無処理区 0
人力式株圧区 4時間10分40秒
立体式株圧器使用区 3時間10分
廻転式株圧器使用区 1時間07分

  (ロ) 生育調査
区別 播種期
(月日)
処理日 出穂(月日) 成熟
期日
結実
日数
6月22日調査 10月5日(成熟期)調査
月日 草丈
(cm)
茎数
(本)
葉数
(枚)
稈長
(cm)
穂長
(cm)
穂数
(本)
無処理区 5.14 8.8 8.10 8.11 9.21 42 13.9 25.5 4.9 62.4 14.1 27.5
人力株圧区 6.7 8.7 8.9 8.10 9.21 43 14.9 22.5 5.1 65.4 14.5 28.0
立体式株圧器使用区 8.10 8.11 42 14.0 24.5 4.9 64.2 14.0 29.0
廻転式株圧器使用区 8.9 8.10 43 12.7 23.3 4.6 64.1 13.5 29.2

 

 

  (ハ) 収量調査
区別 反当収量 収量
割合
(%)
玄米
一升重
(匁)
粒摺
歩合
玄米
千粒重
(g)
総重量 玄米 稈重(貫)
重量(貫) 容量(石) 重量(貫) 容量(石)
無処理区 235.7 122.5 4.407 100.1 2.540 104.7 100 394 81.8 22.2
人力株圧区 243.2 124.8 4.468 102.1 2.584 106.8 102 395 81.8 22.4
立体式株圧器使用区 233.9 121.0 4.360 △ 97.5 2.500 101.6 97 390 80.6 23.2
廻転式株圧器使用区 248.9 129.5 4.637 106.5 2.689 108.0 106 396 82.2 22.0
  本試験反当施肥料   硫安5貫、過石7貫、硫加1貫、魚粕5貫、堆肥200貫
  △ 立体式株圧器使用区に於いて水口の為めのD区は収量が少なかったので Thomoson氏法に依る棄却検定を行いしも棄却する必要を認められなかった。

第二法
  (イ) 所要時間調査
試験区別 6坪当所要時間
無処理区 0
人力式株圧区 8分18秒
立体式株圧器使用区 5分23秒
廻転式株圧器使用区 2分17秒

  (ロ) 生育調査
区別 播種期
(月日)
処理日 出穂(月日) 成熟
期日
結実
日数
6月17日 成熟期(9月15日)
月日 草丈
(cm)
茎数
(本)
葉数
(枚)
稈長
(cm)
穂長
(cm)
穂数
(本)
無処理区 5.15 6.9 8.3 8.6 8.7 9.15 40 13.2 14.5 4.2 66.0 13.8 26.0
人力株圧区 6.9 8.3 8.6 40 14.4 15.0 3.9 63.8 14.2 28.0
立体式株圧器使用区 6.9 8.2 8.5 41 13.7 13.8 3.9 67.1 14.9 26.0
廻転式株圧器使用区 6.9 8.2 8.5 41 13.1 14.8 4.2 65.0 13.9 30.0
 

 

 (ハ) 収量調査
区別 総重量
(貫)
反当収量 稈重(貫) 収量
割合
(%)
玄米
一升重
(匁)
粒摺
歩合
(%)
玄米
千粒重
(g)
重量(貫) 容量(石)
無処理区 278.3 127.7 3.154 114.8 100.0 405 83.6 22.5
人力株圧区 287.9 134.9 3.330 116.5 105.1 405 84.0 22.4
立体式株圧器使用区 285.5 130.0 3.195 116.4 102.5 407 83.0 22.1
廻転式株圧器使用区 291.6 131.1 3.252 117.9 104.6 403 82.0 22.5

 

参考成績
A 上川支場 昭和25年度成績(無処理区と人力株圧区)
 (イ) 生育調査
区別 播種期
(月日)
処理日 出穂(月日) 成熟
期日
結実
日数
7月4日幼穂形成期 8月29日(成熟期)
月日 草丈
(cm)
茎数
(本)
稈長
(cm)
穂長
(cm)
穂数
(本)
無処理区 5.11 6.12 7.27 7.30 8.1 8.29 30 30.5 30.7 57.4 13.8 20.6
株圧区 5.11 6.12 7.28 7.30 8.1 8.27 28 31.2 30.9 59.5 14.9 19.2

 (ロ) 収量調査
区別 反当収量 収量
割合
(%)
総重(貫) 稈重(貫) 粒重(貫) 玄米
重量(貫) 容量(石)
無処理区 276.0 108.8 127.8 101.9 2.586 100
株圧区 273.0 105.4 131.0 104.9 2.672 103

B 永山村委託試験 (昭和26年)
 (イ) 株圧機械別効率調査成績
試験区別   第一回
除草機
第二回
手取除草
第三回
手取除草
第四回
拾草
比率 総所要
時間
同比率
10坪当
(分秒)
旧実績 比率
無処理区 4.4 8 7 4 23.4 100 23.4 100
人力株圧区 8.10 1.5 100 4.0 6 5 1 16.0 68 17.2 74
立体式株圧区 3.55 4.0 37.5 4.2 4(除草機) 4(除草機) 1 13.2 57 13.7 59
廻転式株圧区 1.55 8.0 18.8 4.4 7 6 3 20.4 88 20.4 88

 (ロ) 生育調査
  区別 分げつ最盛期 幼穂形成期 成熟期 備考
草丈
(cm)
茎数
(本)
草丈
(cm)
茎数
(本)
稈長
(cm)
穂長
(cm)
茎数
(本)
時期別試験 1. 無処理区 30.5 50.5 54.3 41.7 61.5 12.4 34.6 供試品種
北海95号の二
区平均値
2. 6月8日処理区 30.8 45.0 56.3 42.9 63.5 12.4 35.0
3. 6月12日処理区 32.1 42.0 57.0 43.6 64.5 13.5 33.8
4. 6月16日処理区 30.9 50.0 53.8 40.5 62.4 13.4 33.4
5. 6月20日処理区 28.8 39.0 56.8 36.9 64.2 13.6 33.2
機械別試験 1. 無処理区 28.8 48.0 56.1 44.0 63.0 13.3 29.2
2. 人力式株圧区 29.8 36.0 54.5 39.1 61.9 13.3 34.6
3. 立体式株圧区 28.4 48.0 55.0 42.0 60.4 13.7 33.4
4. 廻転式株圧区 29.7 45.0 55.0 38.3 61.5 13.5 31.4

 (ハ) 収量調査
 区別 一区当
籾重量
(貫)
反当
籾重量
(貫)
収量
割合
備考
時期別試験 1. 無処理区 4780 143.4 100 供試品種
北海95号の二
区平均値
2. 6月8日処理区 5380 101.6 113
3. 6月12日処理区 5250 157.5 110
4. 6月16日処理区 5100 153.0 107
5. 6月20日処理区 4845 145.4 101
機械別試験 1. 無処理区 4775 143.3 100
2. 人力式株圧区 5185 155.6 109
3. 立体式株圧区 5315 159.5 113
4. 廻転式株圧区 4800 144.0 101

考察
 三ヶ年に於ける当場成績と永山村に於ける委託試験地の成績を綜合して考察して見ると直播栽培に於いて本葉第2葉前後に株圧することは次の点に於いて、従来の直播栽培と趣を異にする。

 1. 従来は6月初旬に第一回の除草機使用、引き続き手取作業を行うが直播株圧法は此の時期に於いて株圧を行い、引き続き除草機使用
   を行い第一回の手間取りを排す。
   そのために一ヶ年を通じて除草労力は慣行法に比較して7割5分前後の除草労力を必要とするのにとどまる。
   (尚二ヶ年の試験ではあるが株圧を人力によらずして機械化をすれば6割台前後に止められる。)
 2. 株圧は統計処理に依って昭和26年度に於いては、その有意性は認められないが、昭和27年度に於いては、有意差に近い傾向が認めら
   れこの二ヶ年の成績から見て慣行法よりも増収性を示す傾向が認められる。
   その生育相は慣行法に比較して株圧することにより処理後当初より分げつ抑制されると共に無効分げつも少なく、この反面草丈は高くな
   りその結果成熟期に於いては穂長は長くなっている。
   この事が所謂分げつ抑制による損失を充分補い寧ろ増収の傾向を示す線までもって行く原因となるものであろう。
 3. 株圧の機械化については立体式株圧機と廻転式株圧機が二ヶ年共廻転式株圧機が収量の点に於いて優っているが、これが使用につ
   いては今後の検討を要する(それは人力株圧の場合と全く趣を異にし、寧ろ、株内の個体を離しつつ圧へるという方法で増収したとしても
   寧ろ、他の要因を少なからず保持しているように見える。)それに比較して、立体式株圧機の場合は全く人力株圧の機械化であって、
   増収法としては人力株圧よりも劣るが、除草労力軽減という意味から使用にたへるものである。