【指導奨励上参考に資すべき事項】

傾斜地に於ける土壌流亡防止に関する試験成績
馬鈴薯収穫跡地の土壌管理に関する試験成績

傾斜地研究室

 

 羊蹄山麓地方に於いて最も浸蝕を蒙り易い条件下にある馬鈴薯堀取跡地の土壌管理について調査した結果、男爵薯掘取跡地の秋播ライ麦、秋播菜種の間後昨は収穫後の裸地に比し極めて有効に浸蝕防止の効果を認められた。

 

調査の方法
 傾斜地研究室圃場内に最も甚だしい浸蝕程度を示す15°の斜面を選び 2.0m×10m の試験区を設置した。各試験区は上方及側方より流去した水及土壌の流入を阻止するため巾1尺の板を用いて囲み(板が地上部、地下部共5寸になる様)下部には流去した水及土壌を捕捉するため、ドラム缶を設置した。流去水、流去土壌は降雨毎に汲出し測定した。流去土壌は風乾後秤量した。試験区の近くに自記雨量計を置き降雨の性質を調査した。

調査の設計
 1.傾斜度       15~16° N斜面
 2.栽培方法      等高線栽培  其他一般耕種法に準ずる。
 3.馬鈴薯収穫期   男爵 9月6日   紅丸 10月3日
 4.間後作播種期   男爵 9月7日   紅丸 10月4日

調査成績
区別 流去土壌
ha,kg
流去水量
mm
流去水率
%
SWg*
1.男爵収穫后放置区 11.796 6.25 2.7 189
2.  〃  ライ麦后作 6.033 4.75 2.1 127
3.  〃  菜種后作 7.075 4.30 1.9 165
4.紅丸収穫后放置区 1.078 2.45 1.1 44
5.  〃  ライ麦后作 865 230 1.0 38
6.  〃  菜種后作 1.086 2.40 1.1 49
*SW…流去水1立中の流去土壌量

男爵跡地の流去量と降雨の性質との関係
月日 雨量
mm
10分間
最大雨量
mm
後続時間 番号 流去土壌
ha/kg
流去水量
mm
流去率
%
最少
浸透度
mm
SW*
g/e
9.13 5.0 3.8 2.30 1 1208 0.58 11.5 3.22 208
2 155 0.20 4.0 3.78 78
3 210 0.16 3.2 3.78 131
9.17 48.9 4.2 11.10 1 3122 4.89 10.0    
2 1177 3.08 6.3 1.12 38
3 799 2.79 5.7 1.41 29
10.2 25.8 5.0 7.30 1 4682 3.10 12.0 1.90 151
2 2865 2.86 6.3 2.14 100
3 340.1 2.45 5.7 2.55 139
10.5 12.9 4.0 2.30 1 2750 1.68 13.0 2.32 164
2 1819 1.55 12.0 245 117
3 2643 1.68 13.0 2.32 157
11.3 14.0 1.6 2.10 1 35 0.28 2.0 1.32 13
2 15 0.42 3.0 1.18 4
3 18 0.56 2.0 1.04 3