【指導奨励上参考に資すべき事項】

高位泥炭地に於ける緑肥と牧草に関する試験成績
黄花ルーピンの間作時期と鍬込時期との関係試験成績

泥炭地研究室

 

1.試験方法
 (1) 主作物は燕麦(タンミ)を標準肥料で栽培した。
 (2)黄花ルーピンは間作時根瘤菌を接種した。
 (3)肥効試験には共通肥料として陌当過石240kg、加里75kg施用した。 

2.供試作物  春播小麦  春播小麦農林29号

3.試験成績
 (1)ルーピン間作と主作物との関係
  主作物(燕麦)はルーピン間作により概して優る傾向が見られた。その成績は次の通りである。
  主作物の試験成績  自昭和25年  至昭和26年
区別 成熟期における 出穂期 成熟期 陌当収量 収量割合
草丈(cm) 茎数(本) 昭25 昭26 昭25 昭26 昭25 昭26 平均
主要物単作 127.6 37 6.29 7.7 7.28 8.5 2522 2476 2496 100
7月1日間作 128.6 36 6.29 7.9 7.28 8.5 2561 2629 2595 104
7月10日間作 130.2 41 6.28 78 7.28 8.5 2650 2653 2652 106
7月20日間作 129.5 39 6.28 7.8 7.28 8.5 2696 2717 2707 108
7月30日間作 127.6 40 6.28 7.8 7.28 8.5 2635 2535 2585 104
  備考  草丈、茎数は2ヶ年平均とす。

 (2)間作時期と黄花ルーピン生育との関係
 間作の時期別によるルーピンの生育状況は7月1日間作及び7月10日間作区は良好で7月10日以降の間作区は劣るを示した。即ちルーピンの間作時期は7月上旬が適当である。但し昭和26年の7月1日の間作区の劣ったのは7月13日の豪雨によって主作物の倒伏によりルーピンの生育が著しく阻害せられたためである。
 その試験成績は次の通りである。」

 間作ルーピンの試験成績(自昭和25年~至昭和26)
区別 鋤込時
草丈(cm)
陌当生草
重量(鋤込時)(kg)
各年生草重量
増加割合
昭25 昭26 昭25 昭26 平均 割合 昭25 昭26
7月1日
間作
9月中旬鋤込区 54.6 31.6 17000 4060 10800 100 100 100
9月下旬鋤込区 55.7 36.3 17963 6045 12004 111 106 149
10月上旬鋤込区 72.3 41.2 30910 10040 20475 190 182 247
10月中旬鋤込区 75.9 48.5 33620 14550 24085 223 198 358
春季鋤込区
7月10日
間作
9月中旬鋤込区 36.7 30.4 13610 5620 9615 89 100 100
9月下旬鋤込区 38.5 38.5 15964 10831 13398 124 117 193
10月上旬鋤込区 62.5 64.8 26760 25250 26005 241 197 449
10月中旬鋤込区 69.0 81.4 32840 35275 34058 315 241 628
春季鋤込区
7月20日
間作
9月中旬鋤込区 32.0 34.5 10043 8855 9449 87 100 100
9月下旬鋤込区 33.1 29.7 14760 6900 10830 100 147 78
10月上旬鋤込区 47.5 38.6 17793 10750 14272 137 177 121
10月中旬鋤込区 51.5 56.9 26267 24500 25384 235 262 277
春季鋤込区
7月30日
間作
9月中旬鋤込区 26.5 20.7 7927 3105 5516 51 100 100
9月下旬鋤込区 28.4 30.6 8520 7580 8050 75 107 244
10月上旬鋤込区 36.1 32.5 11386 10830 11108 103 149 349
10月中旬鋤込区 38.9 48.7 16400 20500 18450 171 207 660
春季鋤込区

 (3)黄花ルーピン鋤込後の肥効試験成績 (自昭和26年~至昭和27)
 各間作期共鋤込時期の遅いもの程優り、春季鋤込みした場合に肥効は最も大である。従って鋤込期は秋季鋤込む場合には出来るだけ遅くすべきであるが春季鋤込みの効果が大であるから生育したまま越冬して春季鋤込む様にすれば良い。その試験成績は次の通りである。
 肥効試験成績(自昭和26年~至昭和27)
  春播小麦(農林29号)
区別 出穂期
(平均)
成熟期 成熟期
草丈(cm)
成熟期茎数
(本)
陌当収量(kg) 割合 一立重
(平均)g
昭26 昭27 昭26 昭27 昭26 昭27 平均
7月1日
間作
9月中旬鋤込区 6.29 8.2 83.6 81.9 26 36 1007 425 716 150 729
9月下旬鋤込区 6.29 8.2 87.6 84.5 30 37 1067 425 746 156 728
10月上旬鋤込区 6.29 8.2 90.2 80.7 33 35 1339 425 982 206 728
10月中旬鋤込区 6.30 8.3 88.3 87.6 35 36 1400 673 1037 217 728
春季鋤込区 6.30 8.3 91.8 93.8 40 39 1557 854 1206 253 728
7月10日
間作
9月中旬鋤込区 6.29 8.3 88.9 88.0 27 36 1167 637 902 189 728
9月下旬鋤込区 6.28 8.3 90.2 91.9 36 38 1335 885 1110 233 728
10月上旬鋤込区 6.28 8.2 92.0 94.9 38 47 1338 1097 1218 255 725
10月中旬鋤込区 6.29 8.4 96.5 98.3 41 51 1601 1194 1398 293 732
春季鋤込区 6.30 8.5 97.2 99.2 46 50 1671 1310 1491 313 732
7月20日
間作
9月中旬鋤込区 6.28 8.3 85.0 92.9 33 39 933 602 768 161 724
9月下旬鋤込区 6.28 8.3 85.8 97.0 35 42 993 602 798 165 730
10月上旬鋤込区 6.28 8.4 87.8 87.3 36 43 1033 673 853 179 730
10月中旬鋤込区 6.28 8.4 91.8 95.5 36 45 1084 814 949 199 730
春季鋤込区 6.30 8.4 88.8 92.0 25 40 1067 814 941 197 730
7月30日
間作
9月中旬鋤込区 6.29 8.3 72.2 75.0 22 28 310 531 421 88 728
9月下旬鋤込区 6.29 8.2 71.4 85.2 23 42 300 602 451 95 722
10月上旬鋤込区 6.28 8.3 73.9 87.4 22 36 467 637 552 116 723
10月中旬鋤込区 6.28 8.4 81.5 93.4 26 44 871 602 757 155 723
春季鋤込区 6.29 8.3 78.4 88.6 26 47 793 743 768 161 723
主作物単作 6.29 8.2 83.3 81.0 24 34 599 354 477 100 723

 又鋤込量を同一にし鋤込時期を異にした場合の肥効を確認するために施行した成績によれば鋤込期の早晩が肥効に大きな関係のあることが認められた。即ち鋤込時期の早いものより遅い場合の肥効が大であるから早期鋤込みは黄花ルーピンは鋤込後分解が早いため窒素の損失を招くことが推定し得られる。
 時期別同量鋤込後の肥効試験成績は次の通りである。
                                   昭和27年成績
区別 出穂期
(平均)
成熟期 成熟期
陌当子実
収量(kg)
割合 一立重
(g)
草丈(cm) 茎数
(本)
9月中旬鋤込区 6.28 8.2 86.8 34 800 100 730
9月下旬鋤込区 6.28 8.2 91.8 34 1000 125 730
10月上旬鋤込区 6.28 8.2 9.19 33 1095 137 730
  備考  黄花ルーピン反当500貫鋤込み