【指導奨励上参考に資すべき事項】

電気牧棚施設方法についての試験成績

国立農業電気研究室

 

 電気牧棚施設方法について試験した結果、施設上注意すべき点は次の通りである。

 1. 接地
  電気牧棚の接地は家畜の接触時に負荷電流が流れ、これが電気的刺戟をより効果的にするため、接地抵抗の少ない電極材料を使用しなければならない。同一材料を使用しても埋設深度が増加すると土壌水分の増加に依り抵抗は減少する。併し穴掘の手数を考慮して真鍮棒或いは鉄棒1~2mの長さのものを打込み使用するとよい。

 2. 碍子
  湿度、絶縁抵抗、漏洩電流、電圧降下等の点から考えると、導線と杭との絶縁物には、曲柄碍子が最も優良であるが経済面を考慮すればノップ碍子が有利である。

 3. 導線
  導線には一般に鉄線を使用し太さは2.6~2.0mmBS10~12番線)が適当と思われる。又架線の高さは動物の平均高さの1/2~2/3にするとよい。時により豚等は地上10~15mの高さに1本添加する線は常に緊張していることが牧棚の能率維持に大切である。

 4. 杭
  杭は末口2~3寸位の太さのもので充分であり、間隔6~12mに打込むとよい

  天候と絶縁抵抗の変化
       絶縁抵抗
項目
ノップ碍子 ゴム片利用 無碍子
天候 湿度
(%)
飽差
(mm)
絶縁抵抗
(MΩ)
電圧
(V)
漏洩電流
(mA)
絶縁抵抗
(MΩ)
電圧
(V)
漏洩電流
(mA)
絶縁抵抗
(MΩ)
電圧
(V)
漏洩電流
(mA)
雨天 96.8 1.11 0.20 343 2.07 - - - 0.63 16.3 3.90
雨天 91.2 1.04 0.14 310 2.79 0.014 42.4 3.46 - - -
曇一時雨 - 5.60 1.18 776 0.60 0.028 72.0 3.09 - - -
曇時々雨 81.2 2.88 2.00 874 0.44 - - - 0.045 131.8 3.64
曇天 78.9 4.63 2.49 732 0.35 - - - 0.020 44.5 3.87
雲天 72.0 5.39 3.70 708 0.26 - - - 0.019 51.8 3.91
晴一時雨 67.5 5.78 3.65 967 0.37 - - - 0.022 61.9 4.55
晴天 69.0 9.48 6.36 1000 0.16 - - - 0.048 135.5 4.46
晴天 68.0 4.07 7.21 870 0.10 0.035 85.7 3.43 - - -
薄曇 65.1 6.75 7.37 993 0.14 - - - 0.025 73.2 4.23
晴天 71.2 3.25 9.31 945 0.18 0.036 97.0 3.73 - - -
  備考  電気牧棚調製機は北原式55新型使用
       架線全長260m、杭30本、接地電極には3/4吋亜鉛メッキ鉄管8呎打込み

 

接地電極の種類別に依る接地抵抗と深さとの関係