【指導奨励上の参考事項】

甜菜頚葉の飼料的利用に関する試験成績

十勝支場

 

1. 甜菜頚葉の一般飼料成分は品種によって若干異なるが、一般に蛋白質は10%(乾物中)以上を含有し、粗繊維は20%以下であり、飼料成分に富む飼料である。

2. 頚葉の正常なものと抽苔したものは、その形態も若干異なるが、飼料成分においては、抽苔したものはその形態も若干異なるが、飼料成分においては、抽苔したものは粗繊維含量が
 やや多く、蛋白質含量はやや少ない。ビタミン含量においては一般にカロチン、B1、B2、Cともにかなり多く、特に抽苔したものは正常のものに比し、カロチン、B2、が多い様である。
 また品種、年次的の差も若干認められ、一般に昭和29年産のものは昭和28年産のものに比し蛋白質含量が多い様である。また蓚酸含量は抽苔したものよりも正常のものが一般に多
 い様である。

3. 甜菜頸葉サイレージ単味のものについてみると、総酸は2.072%、不揮発酸は1.291%、揮発酸は0.781%であり、前者は62%、後者は38%であり一般に酸の生成状態は良好である。
 水分は83.03%であり、サイレージ調製に達する水分としては若干多すぎる。添加物(特に本年は玉蜀黍が多い)を混合したものは甜菜頸葉単味なものに比し、酸の生成量がやや大であ
 り、総酸は2.450%、不揮発酸は1.489%、揮発酸は0.961%であり前者は60%、後者は40%である。

4. 添加物としていろいろな種類のものを混合した甜菜頸葉サイレージにすると、ビートパルプ、過燐酸石灰を加えたものが一般に良好である。

5. 添加物を混合しても調製技術が不良な場合は品質の良いものを得ることが困難である。

6. 甜菜頸葉サイレージの有機酸組成をみても、単味のものは乳酸の生成が75%位となる。

7. 本年の十勝地方における甜菜頸葉サイレージ調製のためのトレンチサイロは数百以上に達し、資料的引用度が漸増しつつあるが、その技術指導にはなお研究を要する点が多い。

8. 昭和28年度におけるT/R比は123%、昭和29年産のものは十勝地方において143%、全道的には133%という風に甜菜頸葉の生産量は極めて大である。