【普及奨励事項】
梨の新品種について

北海道立農業試験場園芸作物研究所

 

 北洋(5~2)、甘玉(22~16)、初日(10~13)昭和11~12年交配した実生梨につき調査を行い、有望種を選抜し苗木を養成、本圃に定植し栽培の結果、5~2、10~13、及び22~16は既存品種に比し、それぞれ特徴のある優良種と認められた。その成績は次の通りである。

Ⅰ 特性調査
育成番号 両親 成熟期 落葉率(%) 果形 果色 糖分 品質 食用適期
10~13 身不知×長十郎 9月中旬 100 短紡錘 緑褐 12.1 上の下 9月末まで
22~16 同上 9下~10上 50 扁円 緑黄 12.0 11月中旬まで
5~2 長十郎×廿世紀 10.下 20 扁円 淡褐 12.4 翌年2月まで
身不知   10.下 90 洋梨型 淡黄 11.3 翌年1月まで
長十郎   10.下 70 12.8 翌年3月まで
相内   10.上 90 長円 緑白 11.0 10月末まで
  備考  生育調査は昭和30年成績、落葉率は11月18日現在 糖分は検糖計示度

Ⅱ 収量調査
育成番号 収穫果数(個) 重量(kg) 平均重量(g)
4年生 5年生 6年生 7年生 4年生 5年生 6年生 7年生 4年生 5年生 6年生 7年生
10~13 23 42 115 3.3 7.7 20.5 140 184 178
22~16 4 24 79 1.0 6.4 20.9 250 768 265
5~2 8 62 91 2.2 18.0 26.8 269 290 295
身不知 4.5 29 82 108 15 8.0 22.2 30.9 336 280 271 286
長十郎 5 31 72 1.0 6.6 16.7 200 213 232
相内 15 56 55 0.5 12.4 13.8 330 221 250
 備考  育成品種は1本宛、対照品種は2本平均

Ⅲ 概評
 以上の成績によれば、育成品種は在来品種に比べ品質良好で割合収量も多くしかも樹勢強健で、黒星病の被害もないし、優良品種として推奨し得るものと考えられる。
 栽培地帯は10~13は後志以北の地方に22~16は右と同一なるも耐寒性は長十郎程度と考えられる。5~2は中部地方の長十郎適地帯。
 尚3品種の特性を略記すれば、
  10~13……果実は小さいが、豊産で甘味に富む早生種であり耐寒性が強いので、中部以北の地方、特に根釧地方、宗谷地方等従来適品種のなかった低温地方に好適するものと考
         えられる。
  22~16……同時期に出回る相内に比較すれば、品質が勝り遙かに豊産である。耐寒性は中位と見込まれ、栽培地域は一応は胆振以北の零下25度に下らざる地方とする。
  5~2 ……果実がやや不整形であるが、品質収量共に長十郎より勝る耐寒性は中位と見込まれ、空知以南胆振以北の中部地方に適する見込み。