【普及奨励事項】
薄層泥炭地に対する下層埴土の混耕効果について

北海道立農業試験場化学部

 泥炭地にて表層の泥炭浅く且つその下層に埴質土壌の存する場合深耕により右両層を混合して作土ならびに心土の性質を改変することの実用的効果を知らんとして当別町の次の土層断面を有する地において行われたものでその成績はつぎの如くである。

土壌の性状
  土層
(cm)
PH 粘土分(%) 腐植 炭素率
第一層泥炭 15 5.4 24.05 21.43 8.18
第二層泥炭 30 4.2 13.85 58.59 17.68
第三層埴土 以下 4.7 71.35 2.51 8.05

混耕後
   土層
(cm)
PH 粘土分(%) 腐植 炭素率
作土壌土 45 4.8 34.22 20.54 11.58
心土同上 以下 4.9 32.22 25.59 14.84

収量調査成績
   燕麦 小豆
30年 31年 平均 30年 31年 平均
無石灰 普通耕区 100 100 100 100 100 100
混耕区 126 117 121 99 103 101
石灰
施用
普通耕区 114 103 108 104 105 104
混耕区 126 120 124 98 108 103

 本地帯の如く下層に粘土質土の存する薄層泥炭地においては深耕の効果だけであるので客土法に代わる方法として適当である。但しこれが実施に当たっては良く下層土の性状を見当すること及び混耕後における小豆の如き荳科植物の生育は良好でないのでその作付は二、三年後に行うよう輪作を考慮する要がある。